27.8.10

道東五日間 3日目

リアルタイム更新と言っておきながらこの体たらくである。国後島を臨む北海道の東の端を北に伸びるホッポーロード上は、携帯の電波がなかった……。後日、写真などとともに整理します。

今日は羅臼でこんぶ▶太平洋を見ながらの野天温泉で足湯▶知床峠▶知床五湖。

二十世紀少年第三部から目が離せん。

---
この日もいい天気。宿のおかみさんに、カラフトマスの遡上が昨日より始まったと聞く。川が黒いと思ったらサケだったということがあるらしい。今日は知床半島を横断してウトロまで行く予定。遡上する川は羅臼側なので、まずはこちら側を存分に楽しむことに。

羅臼の道の駅でおかみさんおすすめの昆布茶のサンプリングを食す。昆布の切端に昆布茶の粉末が振ってあり、お湯に投入すれば簡単に昆布茶になるというもの。これが絶品だった。羅臼昆布っておいしいんだねぇ。高いだけあるわ。その場で昆布の端を切り落としたものをあつめた徳用パックと昆布茶を購入。

知床半島の先に向かって車を走らせると車道は半島の半分ほどで終わる。そこから先を目指すためには人力しかない。知床半島の先まで向かうキャンパーは海岸を歩いたり、登山したり、ロッククライミングしたり、シーカヤックしたりするらしい。ビジターセンターのルサフィールドハウスに、アウトドア経験の豊かな人でないと無理だと警告してあったのが印象深い。世界遺産にもなっている国立公園だけあって、できるだけ人が入らないようにしてあるのだろう。ここでは、昆布の根っこを自分で昆布茶にしてみよう! と配っていたのだけど、案内通り水のペットボトルにつっこんだら、立派な昆布だしがとれましたとさ! 考えてみれば、いわゆる昆布茶って塩やらなんやら調味してあるよね……。さすがに飲料として飲むことはできなかったよ。ものすごい濃い出汁が出るんだもん。すみませんでした。

てなわけでここでは昆布漁が実に盛ん。海岸には昔ながらの番屋と呼ばれる小屋の名残が多く見られた。その昔、昆布漁のピークとなる夏はこの番屋に泊まり込んだという。現在は自動車によって流通が楽になり、番屋に滞在する必要はなくなったらしいが、時折フォークリフトが大量の昆布を運ぶのを見かけた。あれを自動車がない時代に運ぶのは大変だっただろう。何しろ、幅広で長さも2mを超す羅臼昆布である。

また知床半島は火山が連なっているため、羅臼も反対側のウトロも温泉地だ。特にこの羅臼側では、海岸沿いに岩を組んだだけの簡素な立ち寄り湯が二カ所ある。うち一つは海を望む岩場に岩を組んであるだけの非常に野趣溢れる瀬石温泉で、こういうのは露天風呂ならぬ野天風呂と呼ぶらしい。入浴していた全裸の若者が帰った後、そろそろと足湯だけしてみた。もう一つの相泊温泉は夏の間は囲いがしてあって脱衣棚もある親切設計であるが、お湯が熱すぎてとても入浴できなかった。

羅臼に戻りがてら、橋の上から川を眺めると聞いていたとおり川が黒い。サケだ。いやカラフトマスか。フィールドハウスのおねえさんによるとこの時期の遡上はまだマスで、サケの遡上は9月から10月らしい。そういや秋鮭って言うもんね。河口では大量のカモメがぎゃーぎゃー騒いでいた。自然とはかくも厳しいものよ。


羅臼の「食事処 鰍」で食べた上生ちらし、おいしかったなー。鮨屋だけあって酢飯も完璧でした。この酢飯に日本を感じたな。これぞ帰国の喜びであるよ。

知床横断道路沿いにも山の中に野天温泉の熊ノ湯が。ここは脱衣所も完備の初心者に優しい温泉で立ち寄ることにした。相変わらず温度は高いが、何度も入り直すと体が慣れてくる。一度に長時間浸からないことがコツのようだ。壁にいろいろと薀蓄が書いてあっておもしろかったな。女湯の周囲は完全に覆われているが、男湯は川に面した所は開放されているので、駐車場から木々の間を注意深く見ると覗けてしまうのが危険であった。でも渓流の涼しい風を浴びながら熱いお湯に浸かれるのはうらやましいものだ。

知床峠で羅臼岳を見て、ウトロまで下りたらそのまま知床五湖へ。ここではこの旅行で一番たくさん観光客を見たなぁ。5つの湖、というか池を全部巡ってもたかだか1時間半の道のりであるが、トレイルは途中から山道に。午後のけぶった空ではあったけれど、知床連山を背景にした池を眺める散歩は、運転疲れにはいい気分転換となった。



お散歩第二弾はネイチャーセンターの裏手にあるフレペの滝。翌日にクルーズで海から眺める予定ではあったが、日暮れまで時間があったのでついでに歩いてみた。崖にしみ出る地下水が滝となっておりそれを上から眺めるのであるが、高低差がかなりある断崖で自然を感じたなぁ。だいたい、エゾジカが多すぎた。それに崖に巣を作るアマツバメが大量に飛んでいたのが印象深い。ネイチャーセンターの人によるとアマツバメはそれほど珍しい鳥ではないらしいけど。この辺ではケイマフリという水鳥がかなり希少で時々見られるらしいが、さすがに裸眼でゴマ粒をひとつひとつ判別することは叶わなかった。そういえば、北海道でも根室あたりではエトピリカが見られるらしい。アラスカで見たtufted puffinである。パフィンの方が横顔はかわいいし、メーン州海岸では一時激減したのが戻りつつあると帰国直前に見かけ、ウォッチングツアーに行きたかったものよ。行けなかったけど。

0 コメント: