22.11.19

あとは残務

今年の役員仕事の一番の山を越えて、常に思考のある一定部分を占めていた重みが消えた。そこには解放感とともに、すこし寂しい気持ちもあり、空いた部分を何で埋めようかとやや手持ち無沙汰感すらある。まだ完全に終わってはいないけど、もうなんか、おまけって感じ。…それでいつまでも引っ張ってしまいそうだな。

いま、「匂いと香りの文学誌」を読んでいる。図書館の専門書新着コーナーになったのをよく狩ってきた私えらい、と自賛しながらページを繰ってる。おもしろい。批評本とか解説とか読むのが好きなのだけど、もとのを知らないと楽しめないのが多い中、これはいいよ。匂いや香りは物語の中ではアクセント的な扱いが多いので抜粋がそこだけで完結するからかもしれない。でも中には、香りによって登場人物の世界認識が解体され、再構築するものもあるので、そういうのは原典にあたりたくなる。

といいつつも、返却期限が迫っているので急がなきゃ。あと十二国記の第二集も待っている。

11.11.19

シングルタスク

別のことを考えていた。
今日は寄り合いがあるので、マキネッタに残ったコーヒーを全て、先日買ったばかりの携帯型サーモマグに注ぐ。
で、そうなんです。あのオーコメはやっぱり見たくてね。どう答えようかな。書き出しは。
湯気のたちはじめたヤカンの火を止めた。マグに継ぎ足してエスプレッソに似た濃度のモカをアメリカンコーヒーに化かす。ああこれ、アメリカーノって名前がちゃんとあったっけ。
それで、そうなのお目当ては例の場面じゃなくて、実は別のところで、あの役者が言及してて。
そうそう今日の寄り合いは早く終わる予定だけど、甘めに作っておこう。血糖値がスパイクするのが心配だけど。
調味料庫に手を伸ばした後にカトラリー引き出しからティースプーン。ジャム瓶に詰め替えてるから掬うのはいつも別調達。この一手間もルーチンになってしまえば特に面倒とも思わない。白い粒子をこんもりと載せて褐色の液体に落としていく。一杯じゃ足りないな、もう一杯…瓶の底にスプーンの硬い音が響く。また足さなきゃ。この塩、まだ残りがあったはず。
塩。
しお。

……あああああああああ!

マグを洗い、マキネッタを分解洗浄してもう一度コーヒーを抽出し、今度は間違いなく取り出す。茶褐色のてんさい糖を。直方体の密閉容器の中に大匙を一つ備えた砂糖を。

ヒューマンエラーを見越した体制のはずなのに、それを乗り越えてくるからエラーなんだな。子供たちが何か間違っても、あんまり怒ってはいけないね。

10.11.19

今年は秋があるね

涼しい風がいつのまにかひんやりし始め、羽織りものの厚みが少しずつ増してきた。
少し前まで黄砂かひどく、咳き込んで眠れなかったり、声が出ずにもどかしい思いをしていたが、それもやっと落ち着いた。
先週は母が来訪していた。いつも私や子の世話をするばかりで、しかも体調を崩して帰る羽目になるという、なんとも気の毒なことだったが、やっとお返しができたように思う。杖立から小国、九重へと紅葉の山を巡った。
登山の用意はなかったが、勾配の登山道の入り口を階段を登るように膝を持ち上げて歩いた。降る際に湿った落ち葉に足を取られなかったのは奇跡だと振り返って思う。
山の麓の泉やミズナラの生える池などを巡った。池の水面は落ち葉ですっかり覆われていた。私は水からいきなり木がにょきっと伸びている景色が好きなのに、叶わなかったのが残念だ。
殊の外母が楽しんでくれたので良かった。子供たちも予想以上に歩けることがわかったので、今度はハイキング用の装備を用意してやりたい。