29.11.09

生活リズムが「乱れて」いるのではなく人と違う時間帯で固定してるだけ

近隣で比較的大きなモールであるバーリントンモールへ行ってきた。さすがセールの週末だけあって、駐車場がほぼ満車かつ空きスペースを求めてうろうろする車多数。こんなに混んでるのを見るのは初めてだ。セールと全く関係なく、タルトストーンとか靴とか買った。タルトストーンとは何ぞやと、理解され辛くて大変だった。最終的に、「ああ、あのビーズね~」と理解してくれたが。商品名はPie weightだった。そもそも「タルト」という言葉は通じないことが多い。なんでも「パイ」って呼ぶな。重しを乗せて焼くのはタルトだけだろと、タルトのクッキーの台とパイ生地は違うだろと、もうちょっと他国の食文化を見習えと、アメリカの食文化に言いたい。まあアメリカのパイは重しを載せるような一手間はかけないけどね。

そういえば、アメリカでは店に入るとすぐに店員が声をかけてくる。帰る人や精算をするときにもHave you found everything you want? などと尋ねてくるのだが、それに対して毅然とNo, not yet! と答えるアメリカ人を見た。こういう定型文的挨拶では日本語と同じく、まあまあ、などと適当に濁すもんだと思っていたので、返答が正直過ぎて笑えた。まあ確かに、世間がセールだからといって買い物に出かけても、自分が必要としている物がないと、何も得る物なく終わることはしばしばあるよなぁ。

帰りに信号待ちの交差点で交通事故を見てしまった。交差点に進入する車Aの左側からつっこんでくる車Bがあって、車Aは前面のライトからバンパーまでえぐれた。エンジンルームまでは影響なさそうだったけど、車体右側でかろうじてくっついているバンパーはぶらぶらしており、そのまま運転したら整備不良で警察に捕まるレベル。車Bはぶつけた瞬間に急停止し、3分ほど立ち往生した。運転手はさぞかし放心していたことだろう。運転、気をつけないといかんね。

このモールには本当は前日に行く予定だったが、起きたら午後2時だったので諦めた。ちなみに就寝時間は午前5時頃。この2週間あまりの引きこもり生活で、睡眠時間が5-14時で落ち着いてしまった。午後に起きて、夕飯を作って、だらだら過ごすとなぜか朝5時になるのだ。で、翌日はがんばって12時に起きて今回のバーリントンモールまで出かけたのだった。モールでは人混みもあってかなり無駄に歩き回り、帰宅してご飯を食べてすぐに就寝、そして午前2時半起床、そのまま起きて今7時。今日この後もがんばって起きていれば常人の生活時間帯に合わせられるかな。

昨日、余っていた栗の渋皮煮でタルトを焼いた。フィリングはアーモンドクリームであるが、栗はあんまりタルトに合わないね。栗もフィリングも台も、味がすべて同じ方向でつまらない。それぞれから砂糖の甘さを感じる。その前に焼いた洋梨のタルトの方が、洋梨自体の味が残っている分おいしかったなぁ。

27.11.09

引き続き休み

今日はサンクスギビング。1620年にプリマスに到着したピルグリム達が、なぜか英語を話せるネイティブアメリカンと出会い、その年の厳しい冬を彼らの助けで乗り越え、翌1621年の秋は大豊作になったのでみんなでパーティーしました、ってのが始まり。去年も同じ事書いたな。家族が集まって七面鳥とかサツマイモの蜂蜜煮を食べる日で正月の感覚に近い。明日はブラックフライデーとして全米でセールが始まる日。日本で1/2にデパートの初売りと冬のバーゲンが始まるようなもんだ。

今年は何もしていない。なぜかローストビーフを焼いてみようと昨日肉を買った。が、ローストビーフの秘訣は肉の内部まで室温に戻してからローストすることらしい。本日の起床時間、15時。室温に戻すのにかかる時間、5,6時間。今日中に食べられる目算、ない。

というわけで、今晩は先月イギリスから買って帰ってきたM&Sのラムカレー用スパイスを使ったラムインドカレー。しかも特筆すべきは、夫がすべて調理した! 作ってもらえるご飯はおいしかったなぁ。

ところで、ブラックフライデーと翌月曜、サイバーマンデーとしてオンラインショッピングのセールが始まる月曜は二大セールデーと親しまれてきた。前者のブラックフライデーは今も健在で、チェルシー系のアウトレットは午前0時にオープンしたし、Old NavyというGAPの廉価版衣料品店は午前3時に開店すると盛んにテレビCMが流れている。アウトレットの人は一年で一番忙しい日だろうな。後者のサイバーマンデーについては、かつてはネットを会社で見るので、この木曜から始まるサンクスギビング休暇が開けて初出勤する月曜にターゲットを合わせていたのに由来する。しかし今やどこでもネットにつなげられるから、サイバー「マンデー」の重要性が薄れている様子。確かに翌週月曜まで待っていたら商機を失うね。

今週、アマゾンがブラックフライデー特集として毎日決まった時間からセールをしている。我が家も1つ便乗して注文してしまった。それは掃除機ルンバ。約$200の提示だったのでついうっかり。我が家はそんなに広くないので不要といえば不要なのだが、日本で75000円と聞いたら、値引率を非常に重要視する我が家の財務省が決断した。1年半で壊れる、日本で修理不可ということだが、まあその辺を加味しての$200だなぁ。本当は今日、フードプロセッサーも注文しようとしていたのだが、気がついたら注文可能時間が終わってしまった。残念。

26.11.09

出鼻をくじかれる

サンクスギビングの前日、昼前にリスケされた聴講授業に行こうといつも通り車に乗ってエンジンをかけると、点火しない。以前、バッテリーが上がったときにしたようなカチカチという音もしない。3日前には普通に乗ったのに! とりあえず誰かに見てもらわないといけないと、近所の日本人がいるauto shopを調べたら塗装・板金屋であった。自動車整備をしてくれるところを探さねば、と半ばパニックになっているうちに、夫がオンラインでAAA(JAFみたいなもの)に加入し、直後に電話して助けを呼んでいた。オペレーターは原因はバッテリーじゃないか、車種からエンジンが壊れることは考えにくいと言ってくれたが、不安で仕方がない。で、1時間後にメカニックが到着し見てもらうと、バッテリーの寿命だとのこと。自分でバッテリーを買って交換するか、今自分が交換するかどうするかと聞かれるので、もちろんお願いする。そしたらあっという間に終わった。メカニックの車には多くのバッテリーが積んであってすぐに対応できるようだ。約$120。AAAにもっと早く加入しておけば心配いらずだったなぁ。実に頼もしいサービスだ。

結局大学には行けず、車の調子を見ながら〈UBURGAR〉へ行き、普通のハンバーガーとビッグパピー(RedSoxのオルティス選手の愛称)と言う名のハラペーニョソースバーガー、フレンチフライをテイクアウト。野菜が適度に挟んであり、ソースもそんなに多くなく、非常に健康的な味だった。美しいマクドナルドて感じ。フライドポテトはもっと塩辛いのが好きなんだけどな。それにしても、ハンバーガーは健康的な食べ物だと思う今日この頃。

25.11.09

BSO

2週間前に思いつきで買ったBSOのチケットのコンサートへ行ってきた。Boston Symphony Orchestraという団体の演奏をSymphony Hallで聞く、といった体は初めてだ。BSOの演奏は夏のTanglewood以来だし、殆どメンバーが同じだけれども先日のBen Foldsと共演したのはBoston Popsである。シンフォニーホールの音響の良さはベンフォールズの時に十分に分かったので、てきとーにとったチケットとはいえ結構楽しみであった。何しろチケットは一人$20、破格であるよ。40歳未満ならばこの$20チケットが買える。若い人にもっと来てほしいんだろうなぁ。

そしたら、いつの間にか指揮者が交代しておりそれに伴って2曲目も変更されていた。まあ今回の目当てはバイオリンコンチェルトでソロを務めるJoshua Bellであり、そこんとこは変わりなかったのでよい。夏のTanglewoodで見たときには彼が有名な演奏者であることを知らなかったために、演奏後に握手を求めるファンの数にびっくりした。かっこいいのも人気の秘密だと思われる(写真は無断引用です)。この人、youtubeにWashington Post紙の企画で、駅の片隅で演奏したら何人立ち止まってくれるかを試した動画がある。都会は冷たいけど、さすがたくさん人がいるね、と思ったもんだ。


曲目は以下の通り。
  1. DEBUSSY Prelude to The Afternoon of a Faun
  2. STRAVINSKY The Firebird (1945 suite)
  3. BRAHMS Violin Concerto
寸感:一曲目はハーモニーが美しく響き、さすがBSOとうならずにはいられない。新緑が萌える5月の草原て感じ。二曲目はバレエのBGMを全部まとめてひとつの曲にしたもの。1946年には作曲者のストラビンスキーが自らBSOで指揮を執ったらしい。ちなみにBSOは来年、創立130年を迎える。この曲で指揮者が本領発揮 。狭い指揮者の台をめいっぱい動き回って、盛り上がりのところではジャンプした。着地後、客席がざわついたのが印象深い。直前の曲目変更のためか、一曲目に比べて和音に荒さを感じる。で、お待ちかねの三曲目はさすがブラームスと思わせる大曲。ソリストの動きの激しさに、指揮者は少しなりを潜めた様子。

クラシックこそCDで聞くのではなくコンサートに行くべきだと思う。CDの演奏はうまいけれども(市販のCDでもヘタクソなやつもあるが、それはまた別の話)、小さなスピーカーからを通すとそれだけ狭められる気がする。少なくとも家の15cm*8cm×2個のスピーカーは小さすぎる。5.1chの音響システムを使うと違うかもしれない。いいイヤホンを使うと、例えばバイオリンが右手前から、ホルンが正面から、トランペットが右奥から聞こえてくるのがわかる点でスピーカーに勝るけれども、演奏している姿が見えないのが決定的だ。その点コンサートは自分の視界一杯から音が聞こえてくるし、演奏家が見えることもあってそれぞれの楽器の音もわかりやすい。ひいては各楽器が担うフレーズが際だち曲が立体的に感じられる…気がする。

それと、クラシックでも聞いていられる曲と聞き続けるのにエネルギーが必要な曲があるとつくづく思った。旋律があってそれを補佐するように伴奏がある曲と、どこにメインのメロディーがあるのかわからない曲。前者はわかりやすいし、もしその旋律が自分のツボにくると、もう100回でも聞いていられる。その点ブラームスは偉大だと、今日の演奏を聞いていて思ったのだった。三楽章とも楽しく聞けたもんなぁ。口ずさみながら聞ける感じ。そのほか例えばブラームス交響曲1番なんてコンサートの定番だけど、定番になるだけのことはある。

好きな曲と言えば、ドボルザークの交響曲5番もそうだ。この曲はマイナーすぎてなかなかCDが売られていない。かつて2chのどのCDを買うべきかスレみたいなところでおすすめのCDを教えてもらったもんだ。ちなみに、この曲を認識したのは「のだめカンタービレ」からであった(日本編のニナ・ルッツ音楽祭で選抜オケが演奏した曲目の1つ)。いろいろ書いてきたが、きっかけはそんなもん。

22.11.09

引きこもり

ここ2週間ほど、去年の冬を思わせるような引きこもり生活をしていた。なんだかすべてのことにやる気を失ってしまったのだった。始まりは夫関連の日本人交流会で数多くの同年代の優秀な女性留学生達に会ったことだった。その境遇をうらやんだものの、そのエネルギーを自分を伸ばすことに向けず、嫉妬する方に費やしてしまった。自分を鍛錬するのは大変だから、うじうじ考えることに逃げたわけですね。でも、負の感情をずっと持ってるのは非常に疲れることで、ついには日常生活にも支障が出る始末。この間、ESLも聴講してる授業も殆ど行かなかった。食事も一日一食ほど。とはいえ、さすがに冷蔵庫から食糧がなくなると夫が飢えてしまうので、やっと買い物に出かけ、思いつきで生の栗を買い、その晩に渋皮煮をしてみた。

作業療法と言うのだろうか。渋皮煮のための栗の皮むきは手間がかかる。無心になって鬼皮を剥き、爪楊枝で筋を取り続けているうちに、記憶にたまっていたものがだんだん薄れてきた。悩みが解消するわけではないが、忘れてきたというか、その苦しい気持ちが霞んできた。そういえば、料理はストレス解消には有用だよなぁ。無心になって体を動かすのは楽しいもんだ。この日記を書くためのタイピングも、打っては訂正してはしているので、指の運動になり似た効用をもっている気がする。

12.11.09

乾燥がひどくなってきた

いよいよ最低気温がかろうじて0Cを上回る季節になり、セントラルヒーティングが稼働し始めた。冬の間、家の中が常に暖かいのは嬉しいが、なぜか非常に乾燥する。加湿器は必須だ。去年購入した加湿器を持ってきたのだけど、石灰がこびりついてとれなくなってしまったために先日買い直した。今度は冷たい霧がでるやつ。暖かい霧が出るタイプより高価だ。熱い霧は触れると危ないかもしれないからなぁ。子供が喜んで指をつっこむんだよね。高いと言っても$40くらいで、日本よりも安いかもしれない。アメリカは家電の価格はほんと安いものから超高級品まで幅広い。選択肢が広いってのはいいことだ。

で、乾燥がひどいので保湿は欠かせない。ドラッグストアは今やボディミルクやハンドクリーム、かかとクリームで溢れかえっている。私もここぞとばかりにJohn Masters Organicsのバニラとオレンジのボディミルクをせっせこ塗っていた。そしたら虫に刺されたよ…。虫との因果関係は明らかではないが、甘い香りがやつらを呼び寄せてしまったのかもしれない。

化粧水も問題だ。欧米人はクレンジングクリームで浮かせた化粧を拭き取り化粧水(トナー)で拭い、ミルク状の保湿液(でもオイルフリー)をつけて手入れ完了らしい。日本でおなじみの保湿用化粧水ってやつは存在しない。多湿のアジアに住む我々とは肌の厚さや細胞のはがれ方が違うんだろうな。トナーでもなるべく薄いやつを保湿用にといろいろと試した結果、Body ShopのAloe Calming Tonerにおちついた。香りがないので虫に刺される心配もない。しかも安い。CaudalieのBeauty Elixirも香り控えめで、スプレーなのにすごく浸透するので併用している。同じスプレータイプならJuliqueのRosewater Balancing Mistが気になるが、バラの香りがネックだ。Caudalieの後だな。数年前にバラの香料が人工的に作られるようになって、バラの香りが付された化粧品が爆発的に増えたらしい。いい香りだとは思うけど、柑橘類の香りと異なってちょっと近寄りがたい感じがする。

そういえば、ロンドンのCalpeperで買ってきたホホバのキャリアオイルの効用がすごい。最近、アイジェルかなんかで目の縁が荒れてひりひりしていたのだが、いい保護材になったのかすっかり回復した。オイルを使うのは初めてだけど、乳液と違って塗った後の息苦しさがなく、少量でのびが良くて扱いやすい。すばらしいね、ホホバオイル。

9.11.09

かゆいのその後

かゆみがとれた頃にまた刺されてもういやんと思っている今日この頃ですが、本日ついに容疑者を捕獲そしてつぶして廃棄。Bed bugという虫のようだった。日本語では南京虫らしい。戦後の公衆衛生が整備されていない頃によく見られた虫だと思う。やだなぁ。どっから入ってきたんだ。アメリカでは寝る前に、この虫に刺されないないでぐっすり眠れるように、とおまじないするくらいよく被害に遭う虫らしい。中古マットレスや中古家具から移ることが多いとか。我が家のベッドは新品なのに…。暖かい所、人の手が触れにくい空間、外からの出入り口等、家の中に怪しい箇所はたくさんある。明日は総ざらいして大掃除だ。夫は無傷なのにどうして私ばかりが刺されるのか、それだけが疑問。

それはそうと、今日はボストンで知り合った人々とお茶してきた。だんだん人と出会えてきたのが嬉しい。

その後、今日の生理学はLabだから特段予習もいらないやーと何もせずに大学へ行ったところ、Labは来週で、今週は引き続き講義であった。授業は2時間で約120ページのパワーポイントを使って進められるため、いつも事前に印刷して持参している。が、今日は当然持っていない。仕方なく必死にノートを取ったら、いつもより内容が分かる気がした。普段は印刷物ばっかり見てしまったり、先生の説明がよく分からなくても後で確認すればいいや、と流してたんだなぁ。反省。

6.11.09

会員なのにまだ二度目

せっかく会員になって1年間無料で入館できるというのに、全然活用してこなかったボストン美術館メンバーシップ。やっとこさ使ってみた。ここに来るのは3度目、2度目に訪れたときに会員になった。非会員は会員と一緒なら$5で一緒に入れるのも嬉しい制度だ。

ボストン美術館はMuseum of Fine Artsが正式名称で米国でも有数の美術館らしい。美術の教科書の中で「ボストン美術館所蔵」の文字を何度か見かけた気がする。現在の特別展示はエジプトのとある墓。1915年にここの美術館が発掘し始めたらしい。そのとき既に盗掘に遭っており、残っていたのは死後の世界へ渡る船の人形とわずかな壺類、それに棺とミイラだけ。だが、棺はまるまる残っていて、そこに施された装飾がすばらしかった。棺は木製であり経文が彫り込まれたかのような細かい文章、現世と死後の世界を結ぶ扉の装飾、顔料も褪せていなかったし朽ちてもいなかった。欧米人が漢字にロマンを感じるように、ヒエログリフに思いを馳せてしまった。

常設展は、まだ見ていなかった古代ギリシアコーナーへ。世界史の資料集に載っていた、黒字に赤い装飾の壺や皿がこれでもかというほど並んでいて壮観であった。赤いのが地の粘土で、黒いのが釉薬らしい。数は少ないながらも繊細なギリシア彫刻もあり、これがローマ・フランクと年代を経るとともに彫刻の細かさがどんどん衰えていくんだよなぁと思うと切なくなる。手先の器用さは人種・民族で異なる気がするなあ。

11/21から4つの小さな特集展示が始まるらしい。また行かねば。

ちなみに、ボストン近郊にはMuseum of Bad Artsというのもあるらしい。そこのうたい文句は'too bad to be ignored'。展示されている作品には気の毒だけど、笑える。

Ben Folds

近隣の大学で、学生は$10、一般人でも$15という破格のBen Foldsライブを見てきた。この間のBoston Popsも良かったが、バンドライブもいいよねーと期待していったんだけど、結論から言えばイマイチだった。チケットの価格を考えればバンドなんて採算が合わないだろうし、会場も大学の体育館とくれば設置場所の観点からも難しいだろう。実際はBen Folds一人のピアノコンサートであった。

開場時間に到着しても駐車場が空いているのが嬉しい。入り口にそこそこの行列ができていたのは厳重なセキュリティチェックのためであった。飲食物は持ち込み禁止、バッグの中身を二人がかりで確認した上、金属探知機のゲートをくぐらされた。コンサートの入場がこんなに厳しいのは初めて。何かあったら大学の責任だからこその対策だろうけど、大変だ。そして内部はオールスタンディング。悲惨。

7時開演のはずが、前座が登場したのが7:20頃。ソロの人で曲の紹介が長い。周りの人と同じように「早く歌えよー」とぼやいてしまった。で、本人は9時になってようやく登場。売れた歌はそれなりに合唱が聞こえたけど、学生向けの大学イベントだけあって観客のすべてがファンというわけではない様子。視界を遮る背の高い人がつまらなそうな様子でいるのを見続けなければならないのは辛かった。Ben Foldsは歌詞もMCもおもしろいはずなのだが、聞き取れないのもつらい。そこに加えて即興曲を披露してくれちゃったりもしてついて行けない感じ。周りが笑っているのを自分だけが笑えない状況ってのは寂しいものだ。

終わったのは11時近く、立ちっぱなしは脚にキた。次のU2のコンサートではGAに参戦するのが夢だねなんて夫と話してきたが、やっぱり音楽は座って聞くべきだと考えを改めた。

3.11.09

日常カムバック

昨夜はコンサートの興奮から全然眠れず、今朝も10時過ぎまで寝てしまった。なんとなく思い立ってこのブログ(というか日記)のレイアウトを変えてから、生理学の授業の予習をして過ごす。逃避行動か?

今日の生理学の授業は神経系の話。これまで意味も分からず習ってきた細かい基礎知識がやっと意味を持ってきた感じ。この授業のタイトルは「生理学と解剖学」のため、体の構成部位を確認する解剖学の比重が高い単元と、生命のメカニズムから人体を見る生理学が重きをおく単元と、両者相俟っている単元がある。先週の骨と関節は解剖学寄りだったが、今日の神経系は生理学寄りで断然おもしろかった。なぜ? が解決するのが何より楽しい。この世には知らないことがたくさんあるけれど、自分自身のことこそ全然わかっていない、ということがわかるのがおもしろい。化学がちょっと大変だけど、それを補って余りある。まあ実は、これまでは人体を形成する細胞の種類とか組織の種類とか、基礎の基礎の基礎くらいの内容だったので、正直に言うと「結局暗記でしょ?」と今一乗り切れなかったのであるが。今日はそういう基礎知識あってこそのメカニズムの理解だよなぁと反省した。来週はまたLabだ。今度は関節らしい。また細かそう。

今週はかなり冷え込み、最低気温も0度くらいになるらしい。寒いと疲れやすくて困る。今日も寒かった。早く寝よう。

2.11.09

Travisアコースティックライブ

夫が大好きなイギリスのバンドTravisがボストンで見られる! ボーカルFranとギターのAndyの二人だけのアコースティックライブで、ものすごい狭い会場、しかもグッズは本人が手売りする!! ということで行ってきた。Travisのコンサートは6年ぶり2回目。前回はロンドンのアレクサンドラパレスでクリスマスの日だった。あのときも二人で来たっけ…と思い出す。私が留学中でチケマスでチケット買って、結婚する前の夫が日本から来たんだよなあ。懐かしい。

会場は家から約6kmの所にある、地域の集会場みたいなところ。規模的には公民館の体育館。44台分しかないという駐車場も会場1時間前はがらがら。しかも近隣は路駐し放題ゾーンで全く恐れるに足りず。すばらしいね。チケットはGA(自由席)だったために、前から2列目の座席を確保。小さいハコ最高。

どんな曲を演奏するかと思ったら、やはり売れた2,3枚目のアルバムが多かった。私は4枚目を留学中にずーっと聞いていたこともあって思い入れが深いのだが、コンサートで演奏するには暗すぎるようだった。それでも定番の「Writing to reach you」「Why does it always rain on me」「Turn」「sing」「side」に観客大喜び。

自前のPCでプレゼンをしながらというのも手作り感いっぱいで斬新。彼らはグラスゴー出身なのだが、わざわざスコットランドの地図を大きく提示しての講義。Franが一曲毎に、その曲ができたときのエピソードを披露してくれて、学校の課題のようだと言って笑いを誘っていた。彼らの曲は楽曲は静かで美しく歌詞も詩的であることが多いのだが、実際に曲ができるシチュエーションはまったく関係ないのが衝撃的であった。例えば妻に幸せな未来を誓う「Flowers in the window」は、メンバーが深夜まで飲み明かして醜態をさらしているのを見たらアドレナリンが出てきて10分で書けたとか、この曲が好きな私にはちょっとショック。笑いの絶えないMCだった。

今回初めて、プロの歌手ってのは歌も演奏もうまいんだなーと感動した。一曲目の「20」はFranが舞台から飛び降りて会場の真ん中へ移動し完全にアンプラグドで弾き語りしたにもかかわらず、声もアコギも切なく響いた。また、ギターが響く「As you are」は私的スキップ曲であったのに、Andyのギターに釘付けになってしまった。エレキギターってあんなにいろんな音が出るんだねぇ。びっくら。

最後にリクエストに応えると言ったら、会場が突如激しいオークション会場の様相を呈した。が、全然それには応えず自分たちの都合で曲を演奏していた。ひどい。2曲で締められたけど、もう1曲くらい聴きたかったな。時間が押している様だったが、それは絶対Franのしゃべりすぎが原因だ。

その後、物品販売でこのツアーのオフィシャルブートレッグCDとTシャツを購入し、CDに二人のサインをもらっちゃった。握手も写真も撮ってもらってしまった。しかもFranの手撮り。そんなことさせるなんて! ちょこっと言葉を交わしたのだけど、なんかものすごい緊張した。AKB48が売れる理由が分かった気がする。手売りいいねぇ。また来たくなっちゃうよ。CDもいい商売だ。このコンサートをライン録りしてそれをCDに焼いて売っている様子で、MCが全部入っている。コンサートの後にはやっぱライブ版の音源聞きたくなるもん。うまい商法だ。写真は後から見返したら、肝心の夫がFranの陰に半分隠れていて落ち込んでいた。申し訳ないけど笑えた。

今度はいつ行けるかな。去年、国際フォーラムに来ていたらしい。次は何年後に来日するんだろう…。

1.11.09

ハロウィン@Salem

この週末はちょうど10月末日にかかったため、いろいろと気にすることがあった。
  • 10/31はハロウィン。ボストンはtrick-or-treatingが盛んだとは耳にしていた。それに近隣のSalemはかつて魔女裁判が行われた地でそれ自体は悲劇だが、今ではハロウィンは異形に身を包んだ人々が闊歩する日として有名になったらしい。
  • 10月最終の日曜は夏時間daylight saving timeが終わる日。3月最終日曜日から1時間早められてきた時計が元に戻る。午前2時から3時に変わる際、もう一度2時になる。
てな感じ。

そんなわけで、セーラムに行ってきた。ボストンから地上を走る近郊列車に乗って約30分の海沿いの街。かつては税関がここにあって、ボストン美術館にたくさんある日本の美術品がみんな通過していったらしい。古く小さな美しい田舎町…であるが、ハロウィンのこの日だけは別格の混雑ぶりだった。

そもそもボストンから電車に乗れない。電車はデッキまで乗客が満載なのに、ホームは電車に乗れない人々で溢れかえり、むしろホームにも踏み込めない乗客の行列が駅構内まで続いていた。電車は増発して30分に1本。それでもなんとかデッキの隙間に滑り込み発車。途中で4駅ほど停車したが、車掌が混雑を理由に乗車を認めない。車掌が停車駅のアナウンスをしようにもマイクまで到達できない始末で、その近辺にいた乗客に代わって駅名を言うように指示。暑い暑いと走行中にドアを開けるなど、なかなかアメリカ的な電車体験だった。

ハロウィンの仮装練り歩きは夜が主。と言っても5時くらいにセーラムに到着すると、もう既に様々な仮装が見られた。老いも若きも人もペットも、お化けや芸能人に扮したり単純に派手な服を着ていたり、一大コスプレ会場であった。目に付いたキャラクターものは、マリオとルイージ(5組、色Tシャツにオーバーオールを用意すればよいので簡単そう)、ウォーリー(4人、リアルウォーリーを探せ状態。でもそんな簡単に見つかってはいけないと思う)、ホグワーツ関係者(たくさん、特定のキャラというよりもハリーの衣装を着ているだけか)、バナナ(3本、既成の着ぐるみ)、ケチャップとマスタード(2組、赤と黄色のとんがり帽子に布を巻いている)、ティンカーベル(5人、妙齢の女性ばかり)、マイケルジャクソンとSP(1組、全然見かけなかった。もっといると思ったのに)。そのほかにも、中世の王侯貴族っぽいドレス、イタリアの仮面舞踏会的な鼻とんがりマスク、ドラキュラやオオカミ男などの伝統的な異形の人たち、単純に派手な人たちも。今回一緒に見物した友人達はインディジョーンズと海賊たちだった。衣装の中古屋で仕入れたり、自前の服を組み合わせたりして楽しむとのこと。

街では特に大きなイベントがあるわけではなく、何カ所かに設置されたステージでライブやコスチュームコンテストが行われているくらいで、基本は街を練り歩く&見物する。こういうのは統一イベントがあった方が見物するにはおもしろいんだけどな。街の中をうろうろしたら、私設お化け屋敷やオカルトグッズ屋、神秘体験系の店が多く目にとまった。そうでなくとも、この町はかつて日本で大森貝塚を発見したモースの故郷で、彼が携わった美術館があったり、魔女裁判博物館があったりと、普通に観光に来ても楽しそうな印象。魔女裁判にかけられた人々の墓地は薄暗くはあったが、その近辺では歩き疲れた人々が数少ないベンチを占拠していて、この夜ばかりは決して怖い雰囲気ではなかった。

帰りの電車は、掲示されていた臨時スケジュールとは全く関係ない時間に運行していたおかげで座れたからよかったんだけど、こりゃあ運営側は大変だろうなと思いを馳せた。地下鉄に乗り換えて以降も、続々と乗ってくる異形の人たち。今夜は夜通し仮装パーティなんだろう。盛り上がった若者達が突如「星条旗よ永遠なれ」を歌い出したときには、校歌や紺碧が響き渡る週末の高田馬場駅前を思い出して、古今東西変わらないのかもしれないと思った。

この夜は1時間長いことを言い訳に夜更かししようと思ったが、歩き回った疲れからか1度目の2時が終わる前に就寝。翌朝10時までぐっすり眠ってしまった。そういえば、日本語で「サマータイム」と呼んでいるけど、アメリカではdaylight saving timeと言うんだよなぁ。サマータイムはイギリスか。日本語の外来語文化は世界の文化を尊重していていいと思うんだけど、浸りきっているとどこの言語か分からなくなるため、アメリカ英語が席捲しているような国では時々困る。