26.6.09

氷河地形系ナショナルパーク行脚 その3

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5/29-6/14のイエローストーンNPおよびアラスカ旅行を振り返る。
写真のみはこちらから
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▼6/2 Tue & 6/3 Wed

ガーディナーから一路南へ。この2日間でイエローストーンNP最大の山場である,間欠泉(ガイザー)と温泉群を目指す。近づくにつれ,硫黄のにおいがきつくなり,道の脇に湯気がもうもうと上がっているのが見えてくる。日本の山の中の温泉的な雰囲気もありつつ,しかし,バクテリアの住む池は美しかった。静かな泉もあり,一方でぼしゃぼしゃと絶え間なくわき上がる泉もあり,ありとあらゆる形を見た気がする。





ガイザーも,その間隔をビジターセンターが把握しており,だいたいの予定時刻を提示してくれる。7,8個は見たなぁ。中でも,世界最大級の60mも吹き上げるというガイザーを見るために小雨降る中3時間待ったが,この時だけ雨雲がとぎれ青空が見え,報われたと思った(一番上のリンク先に動画あり)。


なお,この公園には入浴できる温泉は一カ所しかない上,そこは駐車場からトレイルを3キロほど歩かないといけない。私たちは水着は持ってきていたものの,雨が降っていたので断念した。

氷河地形系ナショナルパーク行脚 その2

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5/29-6/14のイエローストーンNPおよびアラスカ旅行を振り返る。
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▼5/31 Sun

この日は朝からいい天気。イエローストーンレイクから北上すると,次第に硫黄臭くなってくる。その正体は泥の火山と名付けられたポイントだ。これも同じ泉ではあるが,泉の周囲が粘土質の土壌のために溶け込んでしまい,地獄さながらにぼこぼこと湧いているのだ。この近辺は地表が暖かいようで,動物の多くの糞が残されていた。




さらに北上すると,一面に広がる谷間に茶色の固まりがあちらこちらに見られる。近づいたら,どれもこれもバイソンだった。このあたりは一面開けた谷間で,野生動物を多く見ることの出来る地形らしい。しかし,バイソン以外はなかなか見られず。

ヘイデンバレー。これ全部火口の中!
谷の終わりはまた峠を登る。その途中の大渓谷がこの日の最終目的地であり,大きな観光ポイントでもある。大渓谷,英語でグランドキャニオン。確かに,グランドなキャニオンだった。イエローストーンレイクから流れ出た水が,先ほど通ってきた谷間を川になって流れ,ここで滝として流れ落ちていく。キャニオンの南にあるトレイルを往復4kmほど歩くうちに,だんだん雲行きが怪しくなる。イエローストーンNPは,昼過ぎにしばしば雨が降るらしい。車の中で雨がやむのを待ち,キャニオンの北側のビューポイントを巡った。こちらでも,短いトレイルを歩いてみた。短かったものの,とんでもない高低差で疲れた。位置エネルギーは馬鹿にできんね。

宿にチェックインした後,日の入りの頃に野生動物が見られるという別の谷へ向かった。道すがら,ほとんどすれ違うことはなかったけれど,谷に着くとそこそこの人数が集まっている。皆,立派な双眼鏡持参で。実際のところ,見られたのはバイソンの群れと遠くの丘の上にエルクがいた様な気もするが,ゴマのように小さかったのでよくわからん,といった案配。谷の風景は美しかったので十分だけど。帰り道,助手席側の車窓に,背景に溶け込んでいない茶色と白の固まりが見えて,思わず急ブレーキを踏んでしまった。その正体はプロングホーン(下右)。この旅で唯一の目撃であった。我ながらよく気がついたなぁ。帰り道,空一面の夕焼けが美しかった。




▼6/1 Mon

朝はやや曇り空。この日はイエローストーンの北端にあるマンモスというポイントを目指す。マンモスはトルコのパムッカレなどが有名な,石灰質の温泉による階段状の地形が見られる場所。この地が注目され始めたきっかけらしい。ツアーでも必ず立ち寄る場所。

しかし道すがら,いきなり渋滞。イエローストーンは8の字を描くように自動車道が整備されているが,抜け道はなどはない。渋滞時は待つしかないのだが,その原因はバイソンの道路横断であった。のんきなもんだね。なんとかバイソン全員が道路を渡りきって渋滞は解消,さらに北上すると,道路脇にたくさんの車が停車している。よく見ると,エルクの雌が何かむしゃむしゃしてる! ここでは停車している車がいるところには,何かがいる可能性が高い。反面,こちらも停車して,不用意に外を眺めていたりすると他の車を釣り上げてしまう。危ない危ない。まあしかし,動物に会えないなぁと思っていると,突然道の端に現れるから油断ならない。

マンモスに到着すると,それまでの山や谷とうって変わって開けていた。大きなホテルの脇に,それっぽい白い地域。思ったより狭い範囲だった。泉が枯れている箇所も多くあり,例えば数百年後,このあたりの風景はどうなっているだろうと思った。石灰の表出によって立ち枯れた木というのも不思議な光景だ。



ビーバーが見られるというトレイルに挑戦しようとしたが,天候が急に崩れてきたためあきらめ,ちょこっとドライブに変更。すると,またもや道の脇にエルクが! しかも今度は角のある雄。この旅を通して,雄のエルクを見たのはこれっきり。角に毛が生えていたのが印象深い。後に,ビジターセンターでこの毛つき角を触れる機会があったが,見た目通り柔らかい感触だった。満足してマンモスに戻り,そこから公園の北出口を出たところにあるガーディナーの宿に向かう。

で,このように大興奮したエルクだが,このマンモスにはイサカの鹿ばりに大量発生していた。しかもビジターセンター前の緑地にまで! なんてこった。ただ,大勢の群れであったけど,ついに雄は認識できなかった。

ホテルの隣にあった中華料理屋で久しぶりの温かい米料理を食す。おいしかった。料理屋としても相当レベルが高かった。

氷河地形系ナショナルパーク行脚 その1

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5/29-6/14のイエローストーンNPおよびアラスカ旅行を振り返る。
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▼5/29 Fri

4.05pmイサカ発,デトロイト経由でソルトレークシティまで向かう。イサカ空港では座席が3席*12列のプロペラ機が待っていた。初めて乗ったよ,プロペラ機。めちゃくちゃ揺れるよ,プロペラ機。着陸時には,生きてて良かったと思った。デトロイトからは6席*40列の普通の飛行機だったが,一度呼び起こされた恐怖心はなかなか消えず辛い数時間を過ごした。現地時間8.00pm着。この日は空港そばのホテルで一泊。



▼5/30 Sat

ソルトレークシティからイエローストーンNPまでは約600km。空港でレンタカーを借り,一路北へ。イエローストーンNPのすぐ南にあるグランドティトンNPを目指す。

今回の旅の前半は,自然しかないとウワサのアラスカに向けた,自然と闘う準備でもある。とは言っても,キャンプ等をするわけではない。主に食事面で,事前に食パン等を買っておいてランチにするという計画だ。ドラッグストアで日焼け止めと水を,スーパーで食パン・チョコスプレッド・味付きツナパック*2・ベイビーキャロット・バナナ・フルーツゼリー6個パックを購入。宿泊するキャビンには冷蔵庫も電子レンジもないため,要冷蔵ものは却下。

この両ナショナルパークは入場料が共通で1週間有効だ。グランドティトンから入ると,イエローストーンへ北上する道は一本しかないので,気がついたら次のナショナルパークへ入っている感じ。看板はあるので,明確な境界はあるのだが。


グランドティトンは,ティトン山脈と大小さまざまな湖,そこから流れ出す川が織りなす風景が美しい国立公園だ。一方,イエローストーンは大昔の火山のカルデラが,今は森となっているようなところ。また,マグマが地表近くまで上ってきているため,間欠泉(ガイザー)や温泉(というよりも熱泉)が見られる。全世界の60%のガイザーがここにあるらしい。また,硫黄泉のため,硫化水素をエネルギー源とする細菌が生息しているという。この細菌は,地球上に酸素が行き渡る以前から誕生していたと言われている。

野生動物は,両公園ともバイソン・エルク・ムース・ブラックベア・グリズリー等が生息している。

アイダホフォールで街の中心を流れる川のような滝のような,やっぱり川に立ち寄り(写真上左),いろは坂なんぞ目じゃないほどのおそろしい峠を越えて,グランドティトンに到着したのは5.00pm。

なんやかんやで7時間ほどの運転だったが,ティトン山脈の景色に疲れが吹き飛んだ。途中で小さな湖の脇のビューポイントに立ち寄ったり,とろとろドライブしながらイエローストーンに入ると,急に気温が下がった! 標高が高いこともあり,時折残雪を目にする。

この日の宿泊地である,イエローストーンレイクを目指しながら,途中,海沿いにホットスプリングが見られるウエストサムへ立ち寄る。8.00pmを過ぎており,誰もいない。駐車場から板張りの遊歩道が敷いてあるので,散歩気分でいくつもの温泉が見られる。泉の特に温度の高い部分は青色で,低くなるにつれ黄色・赤色・黒色と遷移するが,これはバクテリア(青・黄)や藻(赤・黒)などの色。寒く,硫黄臭かったので早足になってしまった。ホテルに入り,食パン的夕飯を食し就寝。

24.6.09

氷河地形系ナショナルパーク行脚 その0

このブログの内容も,旅行ばかりになってきた。記録することもない,いつもどおりの日々がふるい落とされて,イベントばかりが目にとまるようになってしまうのであった。

さて,5月末から17日間,以下の日程で旅行してきた。

・5/29-6/6 イエローストーンナショナルパーク・グランドティトンナショナルパーク
・6/7-14 アラスカ中南部


今回は自然に重点を置いた旅行だ。彼はアメリカ中西部のイエローストーンNPや,その北側に点在するロッキー山脈と氷河湖が美しい国立公園群を希望し,私はアラスカへ行ってみたかった。しかし,彼の希望するあたりの公園群を回ると,最終的にはカナダに抜けるのが一般的であるが,ビザの関連でアメリカへの再入国が不可能かもしれないこと,また私の希望と日程の兼ね合いから,泣く泣くイエローストーンNPとそのすぐ南にあるグランドティトンNPのみと受け入れてもらった。

一方アラスカも,アンカレジから自動車で行動可能な場所として,南の氷河・フィヨルドを見る旅とマッキンリー山をカバーするデナリナショナルパークを目的地とした。アラスカ中南部のみだ。アラスカは広い。