24.5.20

誕生日本番

昨日に引き続いて次男の誕生日であった。今日はケーキを食べてプレゼントを渡すミッションをクリアした。子どもにとっても大人にとっても、一年のうちで大切な日の一つである。

子どもが7歳になるということは、出産をしてから7年が経ったということだ。前夜8時過ぎに1歳10ヶ月の長男を寝かしつけ、やれやれと暗闇の中で携帯をいじっているうちに、下腹部痛がじわじわと起こり始め、怪しみを感じて産婦人科に電話をしたらすぐに来るようにと指示をされたあの夜から、7年と一日が過ぎたのだ。

私の腕の中にすっぽりとおさまっていた赤子は、いまや重たいランドセルを背負って小学校へ歩いて通う。一端の口をきいて、使いたいブロックを兄と取り合って泣き叫び、寝込む私の額を撫でる男の子になった。

あっという間だな。成長って不思議な自然現象だ。この先、誕生日が来るたびに、彼の成長を振り返って、こんなこともあんなこともできるようになったと寿ぐのだろう。

自分の誕生日になると、その日を迎えるたびにまた一歩死が近づいたと考えてしまうのに。

不思議なものだな。

23.5.20

ただひたすら眠い

先月、アマゾンのプライムビデオで韓国映画のバーニングをレンタルした。週末100円セールのタイミングで、おすすめするツイートを見かけたのだ。レンタル期間は30日ほど。案の定、期限ぎりぎりまで寝かせることになり、猶予が残り4日に迫ってやっと昨夜見たのだった。

とてもむずかしいえいがだった…

あらすじは非常にシンプル。
田舎出身で小説家志望と言い訳をしながら現実と向き合ってない主人公が、同郷の幼馴染と再会した後に、彼女を介して都会の富裕な青年と出会う。幼馴染を挟んで三角関係ができそうになりつつも、圧倒的に勝ち目のない主人公は卑屈になるしかない。青年がある日、趣味が放火だと主人公に告げ、その後から幼馴染の消息がわからなくなる。青年の家には幼馴染の飼っていた猫と、彼女に渡した腕時計が残されていた。主人公は青年を監視するが放火も幼馴染も真相はわからない。しまいには、主人公は青年を刺し、火を付ける…

主人公よ自我を持て!!!と歯噛みながらも一方で、韓国の格差はすごいからな…と一歩離れて見ていた。

たったこれだけのあらすじを二時間半もかけてやるので、きっと私には気づけないことがたくさんあるんだろうなとは想像していた。そしたらやっぱり先人はどこにでもいるもので、アマゾンレビューの一番上の人がきっちり読み解いてくれていた。

これ、原作が村上春樹なんだってね。春樹はほとんど読んだことがない。過去にちらっと見たけれど、人物の心が見えなくて、ガラス窓の向こうの世界をぼんやりと覗いている気分になってしまったのだった。この映画もなかなか人物たちの本音が見えず、特に最初30分は見続けるのに自分を励ます必要があった(ただ、それも演出のうちで、主人公も幼馴染も自分を省みることを意識的に避けていたからだった)。

ともあれ、こういう読み解くのが大変な作品に触れるのは久しぶり、いや、これまでほとんどなかったんじゃないか? と思ったな。
とくに最近はわかりやすい作品が多いし、いま毎日見ている朝ドラのエールは荒いと感じる。朝ドラは朝ドラで多くの視聴者に向けてつくられているものなので、説明や回想、繰り返す演出でとにかく全部語られるようにできている。そういうものだし、それはそれで楽に見られていいんだけど、そうでないのも見たいなあと思った。

なんだろね、久しぶりに頭と精神を使ったのでくたびれてしまったのかもしれない。
今日はとにかく眠くて眠くてつらかった。

明日、次男の7歳の誕生日を迎える。今夜は彼のリクエストで、ハンバーガーパーティーをした。バンズこそ買ったけれど、ハンバーグ、トマト、レタス、ローストオニオン、アボカド、チーズを用意し、自分で挟んで食べるもの。フライドポテトも家で揚げるのは初めて。食べるのに相当忙しかったみたいだが、楽しんでいたようだからまあいいでしょう。

18.5.20

みんな天候のせい

とにかく眠いし、頭が痛い。胃もしくしくする。ここ三日間、体調不良が続いている。鎮痛剤は何度か飲んだ。なのにあまり効いていない。たまにこういうことがある。
天気と体調は連動することもあるから仕方ない。こんなときはじっとして嵐が通り過ぎるのを待つ。ただ布団の中で縮こまってだけいられるのは幸いだった。

はやみねかおるの「めんどくさがりなきみのための文章教室」を読んだ。ゼロからの作文指南から小説を書くところまで、幅広く面倒を見てくれる文章ハウツー本だ。作者は児童文学作家であり、もと小学校教諭らしく、やさしさに満ちている。易しく、また優しい。文章がうまくなりたければ本を沢山読みなさいと諭すのと同時に、たくさん読むだけで行動しなくなったり、家の中が狭くなったりする、と短所もあわせて教えてくれる。
この中で、音声だけ再生トレーニングといった方法が出てくる。よく知っている映像作品の音声だけを聞いて、話し方や間、効果などを聴覚から学ぶ。私はあんまり人間と会話する機会がないので、へえええと思ったね。
読書(特に小説)の醍醐味は、自分とは別の人生を歩めるところにある。脳内へのアクセスは当然視覚からだ。それが当たり前だと思ってきた。現実の人生は五感すべてを使っている。視覚以外の場所から虚構を体感するなんて思ってもいなかったけれども、なるほど聴覚は可能だ。
ここを読めただけでも買った価値があったなーと思った。
序章と各章の冒頭の短編が美しいしユーモアがあってくすりとする。読み物としてもとても楽しい。子どもたちに毎夜一項目ずつ読み聞かせていると、結構な頻度で爆笑しているから、やはり児童文学作家…子どもにウケる…と唸っている。

17.5.20

一月半ほどPCに触らぬうちに

 このブログの入力UIなどが大きく変わっていて戸惑っている。ひと目でわかるようになったところもあれば、過去にあった項目が削られて私の好みと外れてしまったところもある。 
 新しいことにはこっちが合わせていくしかない。

 自宅待機生活が続いている。これを機に私のノートPCを新調した。前に持っていたvaioは確か2006年製だったから、14年も温存していることになる。
 普段は共有のデスクトップで事足りていたのだが、夫は家で仕事をするようになったし、子どもたちもタブレットを常用するようになった。要するに、一人一台必要な差し迫った事情が突然やってきたのだ。
 子どもは週に一度、15分の顔合わせのために登校している。そこで受け取る課題一覧の中に、サイトにある音楽を聞いて歌えだの、映像教材を見ろだの、ICT活用の見本みたいな項目が入っている。そのためタブレットを子どもが占有する時間が増えた。
 私はウェブを介して添削バイトをしている。4月中は休みにしていたが、5月以降は夫に場所を譲ってもらう必要が出てきた。いまのところは8時間で終えられる作業量ではある。この8時間は家事どころか自分の食事の時間も勘案していない。純粋に作業だけに充てる時間だ。
 結果、PCとともに仕事を取り上げられた夫は、私の代わりに夕飯を用意し片付け、取り込むだけで畳んでなかった洗濯物を子どもたちと収納し、風呂の用意までしてくれたりする。ありがたい。在宅バンザイ! 

 今の家はキッチンとリビングの境にカウンターがあるので、その一角にPCを置き、スタンドライトも導入して、私だけのワーキングスペースができた。とても嬉しい。

 前の家はさまざまな事情で大変狭く、全員で全部屋を共有するしかない状況だったが、今回は広くなった。兄弟共有とはいえ子どもだけの部屋を確保できたし、夫の仕事の荷物が中心だが寝室兼用にしなくてもよい大人の部屋がある。
 しかし実際、家族全員が常駐するとなると、私の居場所はないのだ。ダイニングテーブルかソファか布団の中である。

 「居るのはつらいよ」という本がある。私のオールタイム・ベスト3に入る本だ。
 この著者である東畑開人さんが先日こんなツイートをしていた。



 自分の役割を誰かに依存していない状態になるには、形式的に整えないといけない部分もあるということだと思う。
 かつて私が市の育児相談に参加していたときは、かならず母子分離されていた。グループも個人面談も同様だった。独りになれる場所が確保されていることが、心の安全を保つのに必要なのだろう。
 依存していないと先に書いたけれども、この安全を保つためには必ず誰かの助けが必要となる。それは言い換えれば依存だ。安心して誰かを頼れるからこそ、私はわたしとして独立できる。
 だからこそ、そういった環境は得難く、ありがたいし、本当に必要な人には整えるのが難しい。

 さまざまな感謝を噛み締め、やっぱ新しいPCはいいよね~と弄り倒しているのであった。新しいガジェットは単純に触ってて楽しいよね。

14.5.20

ようやく生活が軌道に乗ってきた

新天地に来ましてはや一月半。やっと新しい家の中での動きに体が慣れてきた感がある。
引っ越しの面倒なところは,布団の上げ下げとか,洗った皿の片付けのときにどの方向に振り向くかとか,意識しないで行ってきたことがことごとくリセットされることにある。ふだん頭を使ってこなかったところにリソースを振り分けるのは疲れる。なので,ある意味現状の自粛生活は僥倖でもあった。子供の学校対応とか,新しい町で店や子供の遊び場を探すとか,いっきに降ってくるタスクをぎりぎりまで削ることができる。そうして余った時間はただひたすら自分を慰めることに回せていた。

特に四月に入って,世界中でさまざまな無料配信が行われた。普段だったら見られないようなバレエや歌舞伎,ミュージカル,演劇など,ありがたく視聴していたな。覚えている限りで振り返ってみる。

Metamorphosis; ロイヤルバレエの公演。原作は未読だが,朝起きたら毒虫になっていたということだけは知っていた。バレエの公演は過去にコッペリアしか見たことがなかったので,音楽も群舞もないこの映像には度肝を抜かれたね。人間の身体の可能性と,普段見慣れないだけで同じ人間の動きなのにこんなにもおぞましくなるものかという驚き。とても興味深く見た。

・スーパー歌舞伎 オグリ; 無観客公演の特別配信だった。スーパー歌舞伎なので歌舞伎とは違うものだろうと見当をつけていたが,たとえば殺陣の立ち回りの合間に演者がそろって観客のほうを向いて見得を切ったり,花道を跳躍をつけてはけていったりといった独特な動きはおそらく歌舞伎の特徴なのだろうと思った。録音も録画も撮影もない時代の演芸なのだ。現代なら大判ポスターにするような画角の絵面は,その瞬間にしか生まれないものであって,居合わせた観客の脳裏に深く刻み付けられるように魅力を最大化していたはずだろう。

・通し狂言 義経千本桜; 歌舞伎も見ておこうと思ったのだが,これは予習が必要だ! とネットでいろいろ検索しながら見た。歌舞伎役者の注目するべきポイントの一つは声だという。しかしやはり伝統芸能だけあって現代の普通の発話はしない。耳が慣れるまでちょっと苦労した。Aプロはなんとか見た。話のあらすじをすでにわかっていて,今回はこの役者さんでどんなふうにお芝居するのかな,という楽しみ方をするものだと思ったな。

・ジーザス・クライスト・スーパースター
・オペラ座の怪人
・Love never dies
アンドルー・ロイド・ウェバーのミュージカル特別配信で,4月は毎週末48時間限定だったので必死に追いかけた。JCSはかつてイギリス留学していた時,ブライトンフェスティバルの催しにあったんだけどチケットがとれずに見送ったのよね。なので20年越しに見られた。オペラ座の怪人は映画も見てなかったのでこれが初見。オペラの続編のラブネバーダイズももちろん。ミュージカルは歌があるので,字幕さえあればまあなんとかわかる。音楽がめちゃくちゃかっこよかった。JCSはロックミュージカル,オペラはオケの中にバンドがいたね。ギターと相まって荘厳だったな。舞台芸術も衣装も素敵だった。面白かった。

・ミュージカル刀剣乱舞 一挙配信
で,ミュージカルを見たので調子に乗って,4/23から十日間,毎晩8時からの配信を追っかけました。刀剣乱舞はゲームはしている。2019年1月公開の映画刀剣乱舞がきっかけだったので,お芝居をしているのは知っていた。さらには2018年の紅白にもミュージカル部隊は出演していたし,その前にBSのほうで特集を組んでいたのも見ている。なので出会うべくして出会ったという感じ。
10本中,お芝居があるのは6作,残りはコンサート。一気に見たのもよかったのかもしれない。とても楽しかったし夢中になった。役者はどんどんうまくなり,楽曲のバラエティも増し,増えるキャストもアイドル風から明らかに歌唱力を期待されている人,アクション,舞踊などスキルが増していく。衣装や舞台セットが豪華になっていくのにも,収益が増した分が回されたのかななんて思いをはせることができる。各作の千秋楽を配信しているので新作予告も併せて流されるのだが,会場が増えるたびにしみじみとしたものだ。
あまりによかったのでDMM動画でコンサートのDL販売に手を出してしまった。一年間見放題なのありがたい。よく見返してる。なお,Apple Musicではアルバムの配信もされているので聴き放題でもある。音楽配信は流して利益を還元したいものだ。

・NTL フランケンシュタイン; ベネディクト・カンバーバッチがクリーチャー役をやった回を見た。
これは演劇なので歌がない。当たり前のことだけど,歌があるとセリフが少ないし,歌で感情は読めるので,言語がなくても内容はわかるのだ。不安があったけれど,そもそも半分くらいは言葉がほぼない話だったので助かった。
人間によってつくられた「いのち」がどのように育っていくのかは,最近気になるトピックでもあるので興味深く見た。字幕があればなんとかなるレベル。映画のフランケンシュタインとはたぶん異なる結末だったと思う。こっちはフランケンシュタインを親と慕うクリーチャーのプリミティブな感情,愛情を欲する態度が切なかった。

・ストラトフォード・フェスティバル リア王; これは開始10分で無理だと悟った。初めてのシェイクスピア。リア王は話も知らない(教養がない)。セリフが長いんだね。一文のピリオドがこない。早口。字幕についていけない。
フランケンシュタインは字幕を見なくても耳だけでも,ああこれは古英語っぽく言ってるのね…とか余裕ぶちかましていたのに,本家はほんと難しい。あっこれは今日までだった。もう無理。シェイクスピアはまずきちんと読みたいな…。


こんなとこかな。たぶん。とにかく刀剣乱舞は素晴らしいコンテンツだと思った。去年福岡市博の侍展も行ったからね。最近の新人がらみで古今和歌集を勉強せねばいかん…となっている。日本史も日本の古典も全然興味なくきちゃったから,昔の自分を叱りつけたい。

これからの配信では

・白石加代子の「百物語」シリーズ「筒井康隆作『五郎八航空』」
NYパブリックシアター「What Do We Need to Talk About?」
・NTL Barber Shop Chronicles

が気になっているが,三つ目のNTLは撃沈しそう。二つ目もちょっと危うい。