17.6.10

WAの山、マウントレニエとセントヘレンズ CA・OR・WAの旅 その8

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 5/18-6/8のカリフォルニア・オレゴン・ワシントン州の旅行を振り返る
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▼6/3 thu

シアトル南部の大きな山、マウントレニエ。シアトルのポストカードなんかにも時々映り込んでいるけれど、昨日は天気が悪く全然見えなかった。東京西部の街並みに富士山が見えるのとよく似ていると思う。正しくはレニアーって言ってたかな。

曇り空の中、天気を不安に思いながらも約2時間の道のりを走ると、でっかい山が目の前に…見えない。山の上部に雲がかかっている。またか! マウントレニエは観光にすばらしいポイントが二カ所(パラダイスバレー、サンライズ)あるが、いずれも雪で封鎖されていた。そのうちのパラダイスバレーの入り口までは通年で除雪作業をしてあるために車で到達できるのだが、目玉であるバレーから山腹の花畑をハイキングするのはとても無理だ。パラダイスとは、初めてマウントレニエに訪れた人が花畑の向こうに見える山を見て、こここそがパラダイスだと言ったのに由来する。だからそんなパラダイスらしい風景が見られないのは実に残念であった。

バレー入り口のビジターセンターに到着したときには青空が見えていた。げに変わりやすい山の天気よ。ギフトショップでスノーシューをレンタルできたので、それを履いてまたも雪中行軍することに。氷河の谷のほとりまで行って帰ってくる約2kmのトレイルが最も近かったが、やっぱり雪の中を歩くのは時間がかかる。スノーシューは雪面との接着面が大きいため、雪に足がはまりこむ心配は少なかったが、それでも普通に歩くのとは違って大変であった。スノーシュー体験ができたのでよかったよかった。「パラダイス」はナショナルパークサービス作成のビデオで十分に堪能してこの地を後にした。

帰り道、キツネの子供が道の脇から顔を出していたので、車を路肩に停めて眺めてしまった。私たちの他は誰も止まらなかったけど。

走行距離 227 mi.

▼6/4 fri

またも朝から雨。1980年に大噴火を起こしたセントへレンズ、今もまだ楽観視できないとのことでナショナルフォレストサービスが観測所を置いている。しかしながら、雨と霧でぜーんぜん山が見えない。観測所まで到達するも、やっぱり見えない。悔しいので、展示されていた当時の新聞記事など読みまくってやった。

1980年5月18日に噴火を起こしたのであるが、その一週間ほど前から溶岩ドームがふくらみ初め、噴火のタイミングはある程度予測できていたらしい。しかしながら地質学者やキャンプをしていた親子など、予想被災範囲の外にいたのに命を落としてしまった人、なんとか逃げ延びることができた人、様々なケースがあったという。その中でも避難勧告を拒み、妻が眠るこの地に留まったトルーマン老人のエピソードには胸を打たれた。かつては美しい二等辺三角形の山だったのが、今や上部三分の一が崩れ落ちクレーターとなっている。大地のエネルギーは人間が太刀打ちできないものであるなと溜息が出る。

今年は噴火からちょうど30年。National Geographic5月号で特集記事が組んであったため、つい買ってしまった。

走行距離 161 mi.

▼6/5 sat

朝から晴れ。やった! 前日のリベンジを果たすべく、もう一度チャレンジ。かなり遠くから山の頂が見え始め、運転中なのに大興奮した。危険。セントへレンズの近くに道路を通してあるためだが、山がかなり大きく見える。この道路は噴火後に敷き直されたもので、今後もしまた噴火しても土石流の被害に遭わないように谷底から外して建設されたらしい。しかしながら、最も近い国道5号線から観測所まで最も短いルートで結んであるという。いやーリベンジして良かった。


この日はナショナルトレイルデーとして、国立公園や国営林などの入園料が無料になっており、それもあってものすごい人出。観測所からトレイルを辿って、時間の許す限りセントへレンズの傍まで近づいてみた。多くの人は途中で分岐する道をセントへレンズとは逆方向に進み、近隣で最も高い山まで登って上から見下ろしたらしい。どっちがよかったかはわからないが、とりあえず私たちのルートを進んだ人は誰もおらず、目の前の風景を独り占めできたのには幸せであった。火砕流が1m以上も堆積し、一度はすべての植生がリセットされたこの地であるが、新たに高地から流れる雨水に沿って灌木が生え、その周りに草本が、その外側には苔類が生えていた。噴火から30年、こうして生命がまた生まれていく過程を目の当たりにできるのは実に貴重だ。今回の旅でレッドウッドと一二を争うすばらしい場所であったなぁ。自然に感動するよ。

ハイキングの帰り道、噴火口からぷしゅぷしゅと煙が立ち上った。2003年頃からまた活動が見られるらしい。しばらくは大噴火はしないだろうとの見込みだが、噴煙は見慣れないこともあってちょっと怖かった。

この日のうちにオレゴン州ポートランドまで南下。ホテルの周りは住宅地で大手ファストフードチェーンすらなく、こりゃ今夜は夕食難民かと焦ったが、近所にチキンウイングで有名な店があるという。ここが当たりであった。ソースはバッファローウィングだけでなく12種類から選べるのだが、そのうちアジアンものが意外にヒットした。チキンの揚げ具合も表面はぱりっと、かみしめるとじゅわっとやわらかく、完璧です。日の入りが9時近くとあって、太陽の光を浴びながらビールグラスを空けてしまった。

走行距離 174 mi.

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