17.6.10

ノースカスケード国立公園とオルカウォッチング  CA・OR・WAの旅 その6

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 5/18-6/8のカリフォルニア・オレゴン・ワシントン州の旅行を振り返る
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▼5/30 sun

朝から今回の旅で最も北に位置するノースカスケード国立公園へ向かう。時間的にも場所的にも、旅の折り返し地点である。旅の後半は、カリフォルニア州北部にあるシャスタ山からカナダまで続くカスケード山脈の有名どころに立ち寄っていく予定だ。


で、このノースカスケード国立公園、山地の谷間を東西に伸びる道路を走りながら、国立公園や近隣のナショナルフォレストなんかのポイントに立ち寄る場所であるが、一番の見所ワシントンパスのビューポイントは除雪作業が済んでおらず車で乗り入れることができなかった。幹線道路に車を停めて徒歩で到達したけど。峠の上からの眺めはなかなか壮観だった。他は……その付近は標高が高いだけあって、どのトレイルも深い雪に覆われていた。スキー装備でなければハイキングは不可能そう。さてどうしたもんか。この日は公園周辺に食事ができる場所がまったくなく、昼ご飯の準備なく午後になってしまった。一度公園の東の出口にある小さな町ウィンスロップまで下りて栄養補給することに。

ウィンスロップは開拓時代の街並みを再現して町おこしをしているらしい。その甲斐あって、日曜のこの日は人が溢れていた。町といっても幹線道路沿いに100mほど続く商店と小さな州立公園、その後ろに民家が少々見られるほどの小ささ。何も考えずに入ったピザ&ハンバーガー屋でラムバーガーを注文したら、絶品であった。空腹は何者にも勝るスパイスだね。いわゆる町のピザ屋ってのは結構当たりが多い気がする。もっと早くに気づいていれば良かったなぁ。

で、栄養補給したので一つくらいは雪中行軍するべく公園に戻り、Cutthroat trailへ。幹線道路からトレイルヘッドまで2マイルの道は、雪かきが済んでないでやんの。雪が溶けている轍に従って走るが、車体の下に氷があたってがりがり音がする。ハンドルも取られるし、こういうところは短時間であっても走るのは遠慮したい。予想通りにトレイルは完全に雪に埋もれていた。しかし物好きもいるもので、足跡がたくさんあってとりあえずルートはわかる。Cutthroatの名の由来となった湖へ向かってゴーである。

首切りトレイルというのも、一見なかなか物騒であるが、幸い人の首ではなく魚の首らしい。湖はその昔、魚が釣れて釣れてどうしようもなく、釣れた先から絞めるために魚の頭を落としたという。今はほとりに花畑の広がる湖の向こうに山々を眺められる、子供もウェルカムな夏のハイキングトレイルということだ。ところが5月末のこの日はまだまだ雪。2時間歩いたところですれ違った、帰り途中のハイカーに話を聞くと、とても湖までは到達できなかったとのこと。しかもまだ四分の一程度じゃないかと言う。2時間歩いたよ! 困った話だ。

トレイルはずっと湖から流れ出る川にそって敷かれており、湖へ向かうには途中で渡らないといけない。丸太橋が見えるものの、勾配の大きな雪の坂、しかも足跡がないものしか目の前にはないんだけど……という状態に陥りさらに迷うこと40分、吹きだまりにはまらぬように強引に下る。足の幅ほどしかない丸太橋の下を囂々と流れる雪解け水に足をすくませながら(実際、すくみすぎて這って進んだ)、なんとか渡るが、ここから先はついに足跡がなくなった。ろくにトレイルマップも持っていないため、ついに諦め戻ることに。この頃7時近く、山に囲まれた谷間は日陰になるのも早いので当たりは薄暗い。これ以上進むと遭難すること必至である。雪の上って歩くの大変だよなーと愚痴りながら、なんとか無事にトレイルヘッドまで戻ってこられて良かった。雪中行軍にはクロカンのスキーかスノーシューが必要だと思うよ、ほんと。

ここから更に2時間ほど東南に下り、カスケードループ最大の保養地シェラン湖の一つ手前の町ペテロスにて宿泊。到着したら22時を回っていた。

走行距離 274 mi 


▼5/31 mon

宿泊したペテロスはバードウォッチングの名所で秋には多くの人が詰めかけるらしいのだが、私は早朝に起きられるわけもなく、いつも通り8時に起床。この宿でノースカスケードの観光用リーフレットをやっと入手。近隣には、国立公園や国営林以外の場所にもトレイルがたくさんあるらしい。昨日のうちに知りたかった。その中でも、花畑や湖を見ながら遠くにノースカスケードの山々が見えるという両得なコースがウィンスロップにあるらしい。ノースカスケード近隣の観光では、国立公園を東に抜けたら南側のシェラン湖を通ってぐるっと南回りに西へ戻るカスケードループを走るのが一般的なコースだが、ウィンスロップはすでに逆方向である。トレイルが5km近くあることから、最後は国立公園の中を西に戻ることにした。

ウィンスロップのそばには釣りができる湖がいくつもあり、トレイルはその中でも一番奥のパターサン湖の畔のパターサン山を登るというもの。トレイルヘッドには小さな看板が一つ立っているだけで、簡単に見落とす。誰が管理しているのかよくわからないだけある。が、昨日のカットスロートトレイルと違ってトレイルの周りは花畑が広がっており、ここにきて初めて「ハイキング」をしている気分になった。眼下に広がる花畑とトレイルヘッドそばの湖、遠くノースカスケードの頂に雪を冠した山々を眺めながら、山歩きの楽しさがなんとなくわかった。

 
なんて、楽しい気分でいられたのはほんのわずか。ここはそれほど高い山ではないが、勾配が大きくスイッチバックを辿ってもなかなかきついものがあり、すぐにくじけそうになる。しかも、雲行きがあやしくなり、遠くの山々が灰色の霧に覆われたと思ったらすぐに雨が降ってきた。雨は午後からの予報だったのに……。午前はいい天気だったため通り雨かと歩き続けたが、雨脚は強くなる一方。結局30分登ったところで諦めて下山した。たぶん2kmも歩いていない。歩き始めの眺望がすばらしかっただけに、本当に惜しいことである。もしもう一度ワシントン州に行くことがあれば、もう一度トライしなくてはいけないなぁ。びしょ濡れぶりは、車に戻った後に全身着替える必要があるほどであった。

国立公園内を昨日とは逆に辿り、宿へ。途中で湖に立ち寄ったりしたが、遠くの山々は雲がかかっていてよく見えず。雨ってほんと困るね。


走行距離 274 mi



▼6/1 tue

シアトル付近は野生のオルカ(シャチ)を見るツアーがポピュラーだ。ボストンのホエールウォッチングみたいなもの。観測できるポイントは、カナダとワシントン州が接する付近であり、シアトルから船に乗ると片道5時間の旅となってしまう。私は船酔いがひどいので、そんな長い航海には出ていられない。ところが、アナコルテスという北部の港町からも片道2時間のツアーが出ているという。それなら行ける! とアメリカではこれまたポピュラーな酔い止め薬ドラマミンを投与して、昼11時に出航したのである。

ツアーのコースは島の周りを一周する。前半はなかなかオルカが見られない。鯨と違って小さく、かなり遠いところに黒い背びれっぽいのが見えた気がする……という感じであった。しかしながら、ツアーもよくできていて後半に多数目撃できるポイントへ到達すると、かなりいた。オルカは単体でも泳いでいたが、つがいやそれに子がいる場合が多かった。オルカの動きにはいろいろと名前が付いているが、その行動の目的がなんなのかはよく分からないらしい。例えば、顔だけ海面に出すスパイボット。腹を見せて横に飛び上がるブリーチングを親子3体が次々に行ったときには、船中から感嘆の声が漏れた。ツアーでもブリーチングが見られるのは稀らしい。そのほか、遠くの無人島に鹿やマウンテンゴート、コンドルがゴマ粒のように見えたり、航路を示すポストでひなたぼっこするアザラシをほほえましい気持ちで眺めたりして、あっという間に4時間の旅路は終わる。酔い止め薬の効果がばっちりだったこともあって、楽しいクルージングとなった。

2時間半かけてシアトルまで南下し、街中の宿に泊。

走行距離 104 mi 

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