8.7.09

氷河地形系ナショナルパーク行脚 その7(完)

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5/29-6/14のイエローストーンNPおよびアラスカ旅行を振り返る。
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▼6/10 Wed ひたすら移動

楽しい登山の旅も終わり,ついに最後の目的地であるデナリNPへ向かって北上する。マッキンリー登山の基地として昔から栄えるタルキートナで一泊し,翌朝からデナリへ向かう計画だ。スワードからタルキートナまで約450km。

アンカレジへ向かって交通量が増し,アンカレジから遠ざかるにつれ減っていくのと反比例して,ガソリン代が高騰していく。イエローストーンでも$2.8/gallonに驚いたが,アラスカにおいてはこれがアンカレジ価格であった(最終的には$3.6/gallonまで上がった)。石油の採掘はアラスカの一大産業のはずなのに不思議だ。幹線道路沿いにマッキンリー山を眺めるポイントがあったが,晴れているのにもやがかかっていてよく見えず。遠いこともあって写真なんてもってのほか。なんとなく,あれかー,と指さす程度。
スワードを出て約6時間後にタルキートナ着。久々にパブの屋外席で,午後の黄色がかった日の光を浴びながらアラスカビールを飲んで,かわいらしいロッジながら蚊に悩まされて就寝。大変だった。

▼6/11, 12, 13 デナリNP  

デナリNPは四国ほどの面積をもつ国立公園。道路は公園の入り口から西の果てのカンティシュナまで一本走るだけ。カンティシュナはこの地が国立公園に指定される以前に金鉱が発見され,ゴールドラッシュにより入植された集落。とはいっても,現在はロッジが数件あるだけで金鉱堀りの現地人がいるわけではない。この道路は原則として自家用車は入れず,バスに乗って移動する。バスはキャンプ場と5カ所ほどの見所に停車するほか、ドライバーに頼めばどこでも乗り降り可能。
大地って感じ

天気が良ければ、遠くにマッキンリー山の属するアラスカ山脈が見える。道路はずっとこの山脈に平行しているが、マッキンリー山が見えるバス停はアイルソンビジターセンターとワンダーレイクの2カ所。それぞれ、バスで片道5時間、6時間の距離にある。ものすごい時間がかかるが、崖沿いの道路は未舗装で時速40kmでも怖いと思うほどなので仕方ない。
3日間あったため、初日にアイルソンビジターセンターまで行って概要をつかみ、残りの日は気になったところを復習することにした。結果から言えば、天気が良かったのはこの日だけだったのでワンダーレイクまで行くべきだった。それでも午後には雲が出てきて、マッキンリーはよく見えなかったのだった。遠すぎたからまあいいかと思っている。山そのものよりも、山脈とその麓の谷が一望できたのがよかった。谷大好き。

下る道を見つけられず、ここをムリに降りた

デナリはあまりに自然すぎて、奥地はトレイルさえ敷いていない。ビジターセンターでは等高線の書かれた地図とおすすめルートを指導されるらしい。リアル登山だ。そんなわけでたくさんの野生動物がいる。体長2mを越える個体もあるというヒグマ、ボールドイーグル、足の白いアラスカウサギ、 ムース、野生のトナカイ…。でも、これらをよく見られるようになるのは8月末から9月、秋と聞く。
熊はデナリでは比較的よく見られたけれど。バスの隣を歩いていたりして、長生きする分慣れているのかもしれないなぁ。ビジターセンターの近辺 に現れたときは、レンジャーの人が観光客が近づかないよう最新の注意を払っていたので、車に乗っているのと丸腰でいるのとは訳が違うだろうけど。
クマのスナック、ground squirrel


この旅行を通じて、ムースなどの偶蹄目の雄は数えるほどしか見られなかった。それでも、一度遊歩道沿いに現れてびっくりした。ムースは熊よりも獰猛らしく、とにかく興奮させないように逃げろという注意書きを何度も見たなぁ。2m以上あって大きいんだよね、ムース。

ウサギは自家用車が入れるゾーンの終盤にたくさん現れて、轢きそうになって困った。臆病なくせに飛び出してくるんだ、あいつ。

どうしても見たかったのはビーバー。グランドティトンでビーバーと勘違いしてマスクラットを喜んで観察してしまったのが悔しかったのだ。でもそう簡単に現れてくれない。ビーバーダムはたくさんあるが、完成しているものは昨年の冬に活用されたもので、今は建設の季節だ。

木こりの跡はたくさん見たが、削っているところは見られなかったなぁ。結構太い木を削り倒しているが、ビーバーごときに木を運べるわけもなく、運良く池側に倒れた木があればそれを使うという感じ。ひょっとしたら、ここから削り倒して小さくして運ぶのかもしれないけど。

で、結局3日間ビーバー池へ通い、3日目に2時間待ってやっと発見したのであった。どうやら夕方から活動するらしい。午後9時に雨の中じっと待っているのはつらかったなぁ。本物のビーバーは体長が長く尾も平坦で、明らかにマスクラットとは異なる風体をしているのだった。


▼6/14 ひたすら帰る

アンカレジ発の飛行機は夜9時の便。デナリからアンカレジまで4時間ほど運転し、車を返してダウンタウンで昼食を食べ、空港に移動し無事にアラスカを発った。東に向かって移動すると時差の分だけ損している気がする。NYでバスに乗り換え、翌日16時にやっとイサカに帰ってきた。いやー遠かった遠かった。何がつらいかって、NYCで終わらないところだ。せめてシラキュース発着にすればよかった…。


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