28.2.19

ねほぱほ無戸籍の人の回


【ねほりんぱほりん】壮絶 戸籍のない人生(NHKどーがれーじ)
これね。ようやく見たんだけど、すごいもやもやしているのでその気持ちを残しておく。

二人のゲストのうち、片方は出生届を出せる状態ですらなかったけど、もう一人の方は嫡出推定との兼ね合いで届出られなかったパターン。後者は今では社会問題化したので、行政も対応している(「民法772条(嫡出推定制度)及び無戸籍児を戸籍に記載するための手続等について」法務省ウェブサイト)。自治体によっては学校にも行けるようだ。

で、その後者の話。
夫の著しい暴力から逃げたために離婚ができない(離婚手続きのためとはいえ夫に再会したら殺されると思っている)
→新しい夫と出会って子を成した
→前の夫との婚姻継続中なので、生まれた子はその人の嫡出子と推定される
→そんなの嫌だから出生届を出さない
→戸籍ができないからその子は社会的には存在しないも同じ
という流れ。新しい夫とは事実婚の状態。

番組の中で、子は無戸籍であることを隠されていて、望んだ通学もできなかったし、三十年家の中だけで過ごしたのだと説明していた。親を恨んで反抗して心も病んだ。でも、自分と同じように無戸籍状態の人がいるのだと報道で知って、支援団体を通じて母親の離婚を成立させ、自分の戸籍を復帰させたそうだ。復帰でもないのか。
彼女がいうには、もう親のことは恨んでない、病んでた時も見捨てられなかったし支えてくれた、親は親だし、やっと名実ともに家族になれたから今度は私が社会に出て支えていきたい、んだそうだ。

あなたは、もう親の事情は考えなくていい、あなただけの選択肢を選んでいいんだよって、ものすごく訴えたかった。
だって親にも事情があったとはいえ、自分の人生半分くらい捨てさせられてんだよ。病むなんて当たり前じゃん。そりゃ、30年前はまだ、こういうケースに行政を絡めても円満解決は難しかっただろうし、前の夫に実力行使に出られたらそれこそ命に関わるし、わかるけど。彼女も30歳を越えて親の事情を理解できるほどに成熟して、自分の戸籍を得てとりあえずは満たされているのもわかるけど。
見捨てなかったのは、果たされるべき親の責任だ。それについて子が感謝こそすれ、代わりに自分の人生を差し出す必要はまったくないと思っている。そしてそんなのは理想論だと重々わかっている。 その上でそう訴えたいの。

自由になったようでいて、全然自由じゃない。しかもそのことには渦中にいたらきっと気づけない。私が彼女だったとしても難しいと思う。人はこれまで経験してきた環境の範囲でしかものを考えることはできない。
そんなことが見えてくる気がして、歯がゆい。

ちなみにもう一人のゲストは実の母も育ての母ももう他界し、身寄りはないと話していた。彼は出生届が出されておらず、出生証明書も現存しない。そのために日本人であることの証明すらできない。結果として、戸籍をつくるのにとても難儀しているらしい。それでも支援団体の力を得て住民登録はでき、今では住所もあるし就職もできたし携帯電話だって自分の名義で持てた。これから生活実績を積んで、それが直接役に立つかどうかはわからないが、いつか戸籍の登録までできたらいいなと願う。

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