私は本当だったら大学に毎日赴いて演習をするタームに入っていたはずが、折からオンデマンド講義に振り替えられてしまった。その分図書館にこもってレポートを量産しなくてはならなくなり、提出期限と図書館の休館日との兼ね合いから、土曜日中にどうにか提出する必要があった。
土曜日は国立国会図書館の開館時間5分前に行列の最後尾に並び、閉館15分前に最後のWordファイルを自PCからアップロードした。正月に5年ぶりに機種変更したばかりのiPhoneは、通信プランが刷新されていてテザリングもし放題になっていた。この課題はここで調べてここでまとめ、提出することが最初から決まっていたかのように、すべてが整えられていた。
帰り道に気が大きくなって永田町駅のエチカのカフェに寄った。喫茶メニューと同じくらい、アルコールがメニュー表の面積を占めていた。最高値はヴーヴ・グリコ(ボトル)9000円である。壁にも高級ボトルの写真がプリントされて、その近くにはパテカン、生ハム、鴨のロースト、サーモンのカルパッチョが堂々と並んでいる。なるほど、需要があるんだろうな、と思った。
霞が関から永田町の一帯は飲食店があまりないようだ。永田町寄りの方に勤めていた向きから聞いた話では、数人で突発的に催される飲み会といえば、たいがいは近所のフランチャイズインドカレー屋になってしまったらしい。
もう5年以上前のことだけれども。永田町エチカのオープンは2013年。なんだ、時代的にはすでにあったぞ。とはいえ、インドカレーで食べ放題プランを選ぶ人たちとは、需給のミスマッチが起こりそうだ。
とにかく、そこで私はさらに気が大きくなり、生ビールと黒生のハーフアンドハーフを選んでしまったのだった。小ジョッキ440円。コーヒーと価格が変わらないのよね。見た目も近いし。おいしゅうございました。
で、仕事帰りに飲むビールの味を思い出した。
働いていたころには、先輩たちとよく一杯やってから帰ったな。大手町のおでん屋台、プロント、スタンド形式のイル・プロントが多かった。おでん屋台はときどき駐禁を取られていた。歩道で開店していた記憶があるけど、そのときは道路にはみ出していたのだろうか。
当時私が勤めていたビルも、いまではまるっきり建て替えられたと聞いているが、あれから訪れてはいない。
旅行のことを記録しておこうと思ったけれど、違う話になってしまった。まあいいや。
ポーラ美術館のロニ・ホーン展はとてもよかった。ロニ・ホーンはコラージュ作品が多く、ドローイング、ハンドライティング、写真、パフォーマンス、工芸など、さまざまな作出を縦横無尽に形に落とし込む作家なのだなあと私はとらえ、とてもいいなと思ったのだ。
私のしているこのプライバシー垂れ流しブログも芸術も、いつか出会うおなじ地平にあるものだと思っている。現実を写し取り、切り貼りし、別の形をつくろうと汗水垂らしている。その意図がうまくいっているかどうかは別だし、プロセスに技術の巧拙もあるだろうが、人間の立っている場所はそう変わらないのではないか、などと考える。
それと、子どもが一緒の家族旅行でも、私の希望する美術展を行程に組み込めるまでになったのだなあ、と来し方を振り返って感じ入るものがある。別途、彼らのお楽しみのために小田原城観光もした。小田原北条家のことは、ゆうきまさみの漫画「新九郎、奔る!」でちょうど予習していたのがかなり理解の助けになった。
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