15.10.19

どうせみんな消えてしまうのに

絶不調だ。体がだるい。やる気が起きない。何事にも無感動…というほどではないが,先月まであふれだしていた何事にもいっちょかみしてやろうという野次馬根性は一切消えてしまった。さらには,やるべきことにも気がのらない。もうすぐ幼稚園のイベントがあるのに,腰が重い。悪いなと思いつつも,集まったところで無為に時間が過ぎていくのがつらい。

体調はすぐれない。だから体調に精神が引きずられているのかもしれない。疲れやすく,落下するように午睡している。頭がくらくらするのは貧血様なのかもしれない。薬は飲んでない。

いくら物を持っていても,死ぬときには一円たりとも持っていけない。せめて頭の中に世界を拡張したいと,代わりにものをみて知ることを意識してきた。そうして,それが生まれた子供に伝えられればそんな嬉しいことはない。
と思ってきたのだけど,年長の次男とぜんぜんわかり合えなくて,二年生の長男にはいっても言っても伝わっている気がしなくて,私と子供は別の存在であることをまざまざと突き付けられて日々ショックを受けている。

そう,そういうことなのだ。自他の境界が薄いってやつ? 自分の子を自分の手足のように意のままに動かせ,変化させられるものだと勘違いしていたのだろう。
結局私は私でしかなく,頭の中に蓄積してきたものさえもいつかはすべて消えてしまう。
むなしいな。

私が小4の時に父が42歳で他界した。病歴などはない。事故でも事件でもない。朝起きたら呼吸が止まっていたらしい。隣で起床した私は,何も気づかず寝床を出て,朝の支度をし,いつも通り登校した。まだ当時土曜日は半日授業があって,もうすぐ帰りの会になるところで先生に呼ばれ,普段あまり会うことのない親戚が車で迎えに来ていた。
もうほとんど覚えていないが,それからおそらく小六くらいまで,私はことあるごとに「むなしい」と言っていたらしい。父の上の妹である叔母が引きずられそうだったと,いつだったか,だいぶ後になってから教えてくれた。子どもの言うことにまさか,と疑いたくなるが,父と似て口先だけは豪快だったけれどその実は繊細なタイプだったから,あながち嘘ではなかったのかもしれない。
同じように口ばかり達者な私はこの叔母によく可愛がられていたと思う。
その叔母も数年前からもういない。記憶は日々疎くなっていく。父の声はいつのまにか思い出せなくなっていた。

それはそうと,今「病の「皇帝」がんに挑む 人類4000年の苦闘(上)」を読んでいる。科学史をナラティブに語っているので読みやすく面白い。にもかかわらず必要以上に人の情緒に触れないので読んでて楽。簡単に読める…という内容ではないが,今の私には肩の力を抜いて読める本だ。
だから物語はちょっとつらい。十二国記の新刊が出たとのことで,図書館で一巻を借りてきたが,手を出せそうにないな。

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