24.4.19

18年ぶりの裁判傍聴

 大学生の時にゼミの先生に連れられて裁判傍聴に行った。あれから早十数年,裁判員裁判を傍聴しに行く機会を得た。やっとタイミングが合った。
 こんなことを記すと非難囂々であろうが,おもしろかった。
 第一に,現実は面白いのだ。大学に入学してから,小説類はほとんど読まなくなった。いや,正確には読めなくなってしまった。大学の講義で紹介される事案がそれにとってかわった。法律論を学ぶ中で出てくる例は限界事例だけあって,どんな事案もエクストリームだ。普通に生活している中ではめったにお目にかかれない出来事が目白押しで,バリエーションに富んでいる。そのあと,私は法律から開発学へと移ったので,分野は違っても刺激的なのは変わらなかった。
 それから,刑事裁判は(ひょっとしたら民事もそうなのかもしれないが),検察官が罪を成立させたいストーリーと弁護士が被告人を護るためのストーリーのぶつかりあいがある。そして証拠に基づき,どっちがもっともらしいか,あるいはそれぞれのストーリーのどの部分に確信がもてるか判断するのが裁判だ。かなり乱暴で正確ではないけれど,ふわふわとそんな風に捉えている。すごい楽しいじゃん。

 質問になると急に裁判そのものが鮮やかに見えてくる気がした。不思議だねえ。肉声の力だろうか。
 なのに,聞けたのは弁護人からの被告人への質問だけで,検察からの質問は小学校からの緊急召喚に遮られてしまった。仕方ないことだが残念。裁判所からの質問も聞きたかったなあ。

 それから,裁判の流れを予習してなかったのがもったいなかったな。
 自分で見ていた感じ+ちらりとググったところによると
  1.  冒頭手続き(被告人の名前を聞いたり,黙秘権があるよって教えてあげたり)
  2.  冒頭陳述(被告人はこういうことをした,こんな罪かもしれないという紹介)
  3.  公判前整理手続きで争いのない争点などの説明
  4.  証拠調べ(検察官が場所の写真とか物とかを紹介する)
      +被告人への質問(これも証拠調べなんだろうね。多分,他にも関係者が出てくるんだろう)
  5.  見てないけどたぶん 論告(検察が,このとき被告人はこんなことを考えていたんでしょうね,的な証拠から導かれる評価を交えてまとめてくれる。このときに求刑もやるのかもね)
  6.  見てないけど弁論(弁護人から,いやいや被告人はこんなに反省しているしみたいなことも含めて,争ったり認めたりするんだろう。見てないから知らんけど)
というところだと思われる。わからんけど。

 証拠調べのときには,検察が起訴に当たって集めた証拠を一つ一つ教えてくれる。そのときには検察はその証拠から考えられること,つまりは評価だよね,はしないのよね。弁護側も同じで,質問は被告人の言動やそのときの考えなどを尋ねるだけで,弁護人の意見は出てこない。だから,質問が下手な人なら質問の意図が全然わからなくなるだろうし,逆にうまい人ならば見ている人に被告人の物語を想起させるんだろうと思った。
 で,最後の論告・弁論で,全部を一つの物語にまとめていくんだろう。証拠調べはさながら伏線で,それを回収する場。
 そういう構成の小説ってあるある。よっぽど途中の書き方がうまくないと難しいやつだ。

 勉強になった。朝から夕方までぶっ通しだが,午後になってぐっと人が減って,普段着ライクな傍聴人はみんなメモ取りをしていた。傍聴プロもいるんだろうなーと思った。

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