14.3.14

年明けからこの方

夫が送別会でそれはそれは大きな花束をもらってきた。普段,花を飾るなんて風雅なことはしないので,我が家には花器がない。仕方ないのでコップで代用。マグカップは重さで安定感が出ていい感じであった。

前のポストの続きである。

この3月で今の延岡生活は終りだ。4月には夫の異動に伴って引っ越しする。 そのため,年末ごろから夫の仕事が急激に忙しくなった。これまでは上の子の育児をほとんど任せてきたので,夕飯後にたった2時間ほどでもその助けがないのは大変だった。

4時に上の子が一時保育から帰宅し,5時に下の子の夕寝のために寝かしつけ,寝ているうちに上の子と二人でお風呂に入る。その間約30分だが,だいたい下の子が起きて泣き始めるので,あやしながら上の子にパジャマを着せる。夕飯の配膳にとりかかれるのは6時ごろ,下の子に離乳食をあげながら上の子が自分で食べるのを時々手伝い,自分のご飯をかきこんで,ごちそうさまの後に下の子に授乳。食卓を片付けて7時。夫が帰宅するまで子供二人と遊ぶ。遅くとも8時に帰宅する夫の食事が終わると,すぐに下の子と一緒にお風呂に入ってもらって8時半に下の子の寝かしつけ。寝室から這い出て上の子と二人で遊び,9時になったら上の子と寝室へ。うまくいけば9時半就寝,そうでなければ10時をすぎることも。やっと上の子が寝てくれたら,下の子の夜泣き対応で3,4回起こされ,そしてまた朝が来る。ああ,読みたくなくなるほどのボリュームだ。

夕飯前に上の子のお風呂をもってきたのが,それまでとの大きな違いだ。こうすれば夕飯後のばたばたは避けられるが,その分面倒なことがいくつもできた。まず,帰宅後に散歩などをする余裕がない。下の子も夕寝をあっさり寝入ってくれればいいが,上の子がそれを邪魔することも多々ある。入浴中も下の子がいつ泣くかわからず,リラックスはできない。ちょうどこのころ,上の子は食べたくない時期に突入して,毎回食事時に泣く。下の子の離乳食に嫉妬しているのかもしれなかった。夫の帰宅後に配膳,下膳もし「なくてはいけない」と思っていた。上の子の就寝時間が,それまではおよそ9:15だったのが後ろにずれ込むことに危機感を抱いた。

家事はもちろん,日中にすべて済ませておいた。上の子が一時保育に預けられない日の分まで,前倒しにした。毎日一生懸命なのに,上の子の癇癪が増えたように思えた。閉塞感が高まっていくのを感じていた。

年が明けて間もなく,夫が異動の内示を受けた。それからだ,私のこの出産後からの不安定さが爆発したのは。ネットの育児がしんどい系の話を読んで,まだまだそこまでは……と自分を慰めてきたが,いよいよ危険な水位まで達してきた。とにかく子供にやさしくできない。そしてできない自分を呪う。気を抜くと涙が出て仕方ない。人と話して気分を紛らわそうにも,自分に対する周りの目が怖くて支援センターへ行けない。かといって夫に頼れない。重症だ。

ある金曜日に,なんとか勇気を奮って市の保健師の相談窓口に電話したら,その日のうちに家庭訪問してくれた。保健師の方は話を聞くしかできなくて申し訳ないと再三言いつつも,心療内科にかかることを勧めてきた。やっぱり医療的に対処すべきレベルかと思いながらも診療所に連絡できたのは週明けとなった。診察の予約はすぐにとれた。診療所では,血液検査などから身体はかなり健康状態がよいが,典型的な育児疲れによる産後鬱であると診断された。とにかく子供から離れること,よく寝ること,薬を飲むこと。抗鬱剤ですぐによくなるものだが,授乳中は飲めない。断乳することで下の子の夜泣きに対応できなくなるのが怖く,受け入れがたかった。結果,医師曰く「非常に効き目は弱く,よくなるまで時間がかかる」漢方薬を処方された。

同じころ,上の子の一時保育を任せている保育園でも冷静でいられないことがあり,様子を見かねた先生方が話をする時間を設けてくれた。そしてその席で,下の子も一時保育に預かってくれることになった。

産後7か月にして,ようやく,急ぐ必要のない自分だけの時間ができた。 


と同時に,上記の「一生懸命」をやめた。

頼れる人がいることがわかったこと,プラシーボ含めた薬効もあって,衝動的に怒鳴り散らすようなことはなくなった。それに,100%母乳育児により離れられないと思っていた下の子と離れられたのが大きかった。保育園で哺乳瓶に慣れさせてくれたおかげで,夫に下の子を預けることに躊躇しなくてよくなった。下の子は2か月ごろから哺乳瓶もミルクの味も全拒否で,どうしようもなかった。夫は授乳をある種アンタッチャブルなものととらえていたらしく,私が「引き受けるしかない」とあきらめを感じながらも下の子を担当するとしてきた姿勢を尊重してくれたのだった。その下の子が今や哺乳瓶を見ると興奮するほどなのだ。 保育園様様である。自分の中で抑圧してきたけれど,下の子に感じるストレスが実は相当なものだったのかもしれない。

通院して一月半がたった。初めて医師に夫に対する愚痴をこぼした。いつも通りふんふんと聞きながら,「初めてここに来た時に比べたら,ずいぶんよくなったね」と。

部屋が片付いていなくてもいいじゃない,いやよくない,子供の就寝時間がずれこんでもいいじゃない,いやよくない,と判断に揺れる場面はまだ多々ある。「まあいいか」と気持ちを流すことの難しさもまだまだ感じている。4月からは夫は激務の職場に入るが,保育園はまず利用できない都会においてどうなることか不安もある。

それでも,春が近づいてきていると信じたい。







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