13.6.10

ヨセミテ国立公園 CA・OR・WAの旅 その2

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 5/18-6/8のカリフォルニア・オレゴン・ワシントン州の旅行を振り返る
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翌日、夫の友人夫妻と合流し、彼らの自家用車でヨセミテ国立公園へ向かう。サンフランシスコから約5時間、運転はすべてお任せだ。ありがたい。車窓からの風景を眺めると、家は壁の色や屋根の形がまちまちで、電線も電柱でつながれているため、どことなく日本の郊外を思い起こさせる。

ヨセミテ国立公園は、その中心のヨセミテバレー周辺が一番の観光どころだ。昔々に氷河で削られたバレーにはあちらこちらに滝が流れ、その脇には岩盤を露わにしたドームがそびえ立つ。一つ一つが大きく、バレーを一望できる場所で昔の人が「ここには自然の美しさがすべてある」と言ったのも分かる気がする。滝の水量は雪解けのために5月、6月頃が最も多いらしい。友人夫妻は二度目の訪問だが、一度目は10月だった。水量は秋に向かってへっていくために、当時は水が上から5mほどを落ちる様子しか見られなかったという。最も落差のあるヨセミテ滝では、最も近づける所で写真撮影をすると台風中継さながらとなる。


公園内で2泊し二つのトレイルを歩いた。一つはヨセミテバレーの中央を流れるマーセド川の上流にあるバーナル滝・ネバダ滝を登るトレイル、もう一つはミラーレイク周辺だ。当初は別のトレイルを予定していたが、トレイルヘッドまで来て封鎖されていることを知った。ちゃんとビジターセンターで事前に確認すべきだね……。時期的に今シーズンが始まったばかりなので、この後あちこちでオープンしていたりしていなかったりの憂き目に遭うのであった。

バーナル滝・ネバダ滝を目指すトレイルは滝の流れ落ちるところを目指してひたすら登り、そして降りてくる。、バーナル滝を見られる最初の橋までは全年齢対象のハイキングコースだ。橋を越えた後に現れる分かれ道で、山道を行くジョン・ミュアトレイルか名前からして怪しいミストトレイルのいずれかを選ぶこととなる。私たちは地図上、距離の短いミストトレイルを進んだら、バーナル滝が近づくにつれ滝の水がミストのように舞い始めた。しかし間もなくミストは水になり、そして雨、山肌の上昇気流と相俟って嵐ですよ。道は幅の狭い濡れた石の階段となり、すべりやすく危ない。どおりで距離が短いわけだ。登りでこの道を歩いていてよかったと思った。登山者の中には軽装かつ下っている猛者もいたけれど。登り切った場所は滝に流れ落ちるマーセド川の中にいくつも大きな岩が転がっている。結構多くの人がおり、中学生くらいの集団もちらほら。子供達ほど髪の毛がびしょびしょなのがほほえましい。


ミストトレイルは川沿いに更に続くが、ついに歩いているのはそこそこのハイカー装備をしている大人ばかりになった。上流にあるネバダ滝は比較的すぐに見えてくるが、滝の脇を登っていくのがとにかく大変。先ほどのバーナル滝の「雨」の場所は濡れることこそ大変だったけれど、トレイルの階段は低めに作られていて、登ること自体は苦にならない。しかしながら今度は岩を積み上げて杭でとめてあるだけで、一段一段は岩次第、高い。距離は短いが一気に登るためすぐに息が切れる。しかも、この岩の辺りは崩落や滝による石の運搬でできたのか、土が見えず木が生えていないので日陰がない。この日は雲一つないいい天気でサングラスが手放せないほどだ。とにかく暑かった。滝を見ながらなんとか登り切ると、すぐにトレイルはマーセド川の脇に出る。川に沿って歩き、ネバダ滝の流れ落ちるところへやっと到着。登り始めてから2時間半ほど、約5km。ヨセミテはもともと岩盤の厚い場所なのか、滝の上は岩が水流に浸食されて川になっている様子。滝から登ってきた谷を見下ろすと木々の合間に岩肌の暗灰色が見えた。ハーフドームやエルキャピタンを遠目から眺めるのと同じ色だ。帰りはジョン・ミュアトレイルでスイッチバックの多い登山道を辿り難なく下山。全部で約12km、5時間のハイキングであった。

一方、ミラーレイクは谷の合間の池に映る岩を見よう! 的なもので、ハイキングと言うよりもビューポイント。道も広い舗装道路であり車で乗り付けてもよいレベルだが、車両は通行禁止になっているので3kmの道のりを歩いていく。レイクは実のところ湖でも池でもなく、川の一部が蛇行してちょっとした水だまりになっていた。川が運搬する土砂により年々埋まっているため、人力でくみ出しているらしい。そうしてまで維持する必要があるかは疑問。自然になるようにしておかないのかしら。

公園内の宿泊場所はカリービレッジという名のテント村。ホテルやキャビンは少なめで、もっとも多いのが木で床と枠をはって帆布を掛けたこのテントのようだった。中にはベッドが二つ、熊が出る虞があるため食料はテント外のロッカーにしまう。暖房は当然無い。5月の上旬であっても日が暮れると気温はかなり下がり、登山用のフリースを着込み靴下を履いても寒くて眠れず大変であった。ベッドには毛布が2枚ずつあったが、すべて一つのベッドに投入した。

ヨセミテに来る前は、映像で見ると森の木々の間に見える岩肌がどうも美しく映らず、なぜこんなに人気のある場所か理解できなかった。滝も岩も木もすべてが大きく圧倒され、なんとなく分かった気がする。カリフォルニアの都会から近いのにこの大自然はすごい。今回はヨセミテバレーしか行かなかったが、公園の敷地からするとおそらく10%に満たなんじゃないかなぁ。

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