24.7.09

タングルウッド音楽祭,再び

母がボストンに来た際に一度訪れた半野外コンサートに,今度は夜に行ってきた。幸いこの日も良い天気。この日はタングルウッドに係るすべての団体が演奏する,年に一度のお祭りの日「Tanglewood on Parade」が開催された。

タングルウッドとは,マサチューセッツ州の西の果てにあるボストン交響楽団の私有地で,広大な芝生地に屋根付きの舞台やソニーの大賀会長が寄付して作った小澤征爾ホール,オペラ用ホール等の施設を備えている場所。夏の間はボストン交響楽団がここに滞在して毎日のようにコンサートをしている。

ボストンにはボストンポップスオーケストラという別の団体もある。構成員はボストン交響楽団と重なっているのだが,夏の間にポップスなど軽い音楽を中心に演奏する目的で設立された。彼らも夏の期間,タングルウッドで公演する。

またタングルウッドミュージックセンターとして,優秀な若手演奏者達を集めて指導する機会も設けているらしい。フェローの多くはアメリカ人だが,中には日本人や中国人なども見られた。

タングルウッドの脇にはボストン大学のタングルウッドインスティテュートがあり,ユースオーケストラの指導も行っているとか。

Tanglewood on Paradeでは,上記4団体がそれぞれ,または合同で,昼の2時から夜8時半開始のガーラコンサートまで,十数もの演奏イベントがあった。

タングルウッドの醍醐味は,コンサート会場の後ろが開放してあるため,外側の芝生の上でピクニックをしながら音楽を楽しむことらしい。しかも,かなり気合いの入ったピクニックをしている人が多い。野外で使える折りたたみイスに腰掛けて,折りたたみ机の上にワイングラスと花を飾り,日暮れに備えてろうそくの準備も万端。

私たちはこの日は都合によりガーラコンサートのチケットを購入し,8時に到着。前に昼に来たときには芝生は半分ほどしか埋まっていなかったが,この日は芋を洗うような状態。芝生の端でささやかに弁当を食し,席へ移動した。

曲目はボストン交響楽団の「ウィリアムテル序曲(ロッシーニ)」から始まり,木管楽器のイントロが美しい「ルーマニア狂詩曲1番(エネスク)」。タングルウッドミュージックセンターの若手オーケストラに替わっての「ウェストサイド物語からシンフォニック・ダンス(バーンスタイン)」。ボストンポップスオーケストラによるやや難解な「小澤征爾に捧げる(ウィリアム)」,本物の政治家が登場してリンカーンに関するエピソードを交えた「リンカーンの肖像(コプランド)」。そして最後にボストン交響楽団とタングルウッドミュージックセンターオーケストラの合同という大編成で「序曲1812年(チャイコフスキー)」。指揮者は常任指揮者と客演指揮者の5人が登場したが,いずれもすばらしい演奏だった。特に最後の曲は,チェロ20台,コントラバス10台,バイオリン無数,ビオラ数えられないくらいという体制だったけれど,パート毎に1つの音に聞こえるのに感動した。演奏家の腕もすごいが,それをまとめあげる指揮者は何よりすごいと思い知った。

今回の曲は,1曲目,3曲目,6曲目は誰もが知っている超有名曲。でも,聞いたことがあるのは全部で数十分にわたる曲の中でもごく一部のフレーズだけとい うことが多い。1曲目では第4部の「スイス軍の行進」のファンファーレが鳴り響くと,「あぁーこの曲か」と突如会場がざわついていたのが印象深い。

私たちの席は後ろから3列目だが舞台正面。会場の真ん中には舞台の映像が映されていたため,各演奏家の細かい仕草まで見えたのがおもしろかった。ティンパニが演奏中にピッチの確認をしていたり,オーボエのリードを急いで交換していたり…。

そして終盤,「序曲1812年」の最も盛り上がるタイミングで背後で花火が上がった。が,屋根と木のせいで全く見えず。芝生席にいる人は見えたのか? 木が多いので見づらいのではと推測する。

前回の帰宅時に大渋滞となったことを思い出し,コンサート後もうち上げられる花火を振り返り見ながら駐車場に急ぎ午後11時半には出発。家に着いたのは午前1時半頃だった。もうちょっと近いと良いなー。もう一度くらい行きたい。

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