6.7.09

氷河地形系ナショナルパーク行脚 その5

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5/29-6/14のイエローストーンNPおよびアラスカ旅行を振り返る。
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さて,アラスカである。アラスカは広い。アメリカで一番大きな州だ。観光でポピュラーなのは,アンカレジ(右地図青ポイント),その南部の夏でも氷河が見られるフィヨルドエリア(黄・ピンクポイント),中南部に位置する北米最高峰のマッキンリー山(黄鋲)を囲むデナリ国立公園であろう。他にも多くの国立公園があるが,車ではアクセスできずセスナ機でのみとか,ツアーもカヌーで川を下りながらキャンプ一週間とか,そういった本格的なマウンテニアリングをしたことのない我らには敷居が高すぎた。そんなわけで,初めに挙げた三カ所に絞ったのであった。しかも,アラスカをゾーニングすると,それらは全部同じ地域(アラスカ中南部)に収まってしまうというのもまた恐ろしい。これしきの旅行で,アラスカを訪れたと言って良いのか,ちょっと悩む。

▼6/7 Sun アラスカ鉄道に乗る&船から氷河を見る(青→黄→青)

氷河を見るには,クルージングが最も手っ取り早く,かつポピュラーな方法だ。中にはシアトルからアラスカへ一週間の豪華客船クルージングツアーなんてのもあるが,私たちはクルージングの基地であるウィッティア発着の日帰りツアーに乗った。

アンカレジからウィッティアまではおよそ160km。ここで一日一往復のアンカレジ鉄道を利用した。車社会のアメリカにおいて,電車に乗るのは初めて。ちょっとわくわくしていたのだけど,この電車すげー遅い。自転車をゆっくり追い抜くほどの速度で走る。途中,線路にムースが出たとのことで謎の停車もし,気がついた一部の乗客がカメラ片手に異様に盛り上がっていた。

プリンスウィリアムサウンド(サウンドは入り江の意)を一周しながら,10数個の氷河を見る。氷河の氷は,雪が80%の空気を含んでいるのに対し,40%ほどになるほど圧縮されているため遠くからでは青く見える。溶け出す水も深い緑色をしていて美しい。氷河に船が近づくと,気温が下がっていく。この日は雲1つない快晴で日差しが照りつけて痛いくらいだったが,肌を切る風が急激に冷たくなっていくのが分かる。氷河の真ん前でしばし停船すると,氷河の上部は雪で覆われていることもあって,本当に静かだった。時折,ぴしぴしっと聞こえたかと思うと,水辺にせり出した氷河の端が崩れ落ちる。大きな崩落があると,みんな息をのんで見守っていた。

昼過ぎに始まったこのクルージングは昼食もおやつも付いて夕方には帰港。ウィッティアはもともと第二次大戦中の対日本専用隠れ基地だったため,今もそれほど産業がない様子で観光地としてはそれほど発展していなかった。帰りの電車は9時にアンカレジ着。まだ明るかったため,ダウンタウンのパブでアラスカビールとアラスカンサーモンのクリームパスタを食す。これはおいしかった。サーモンの新鮮さも良かったが,料理がおいしいパブであった。徒歩でホテルへ戻り,明るい空を見ながら就寝。

▼6/8 Mon 歩いて氷河を見る1(青→黄→ピンク)

空港レンタカーの空港使用料約200ドルを節約するために,ダウンタウンのホテル近隣のレンタカーオフィスで車を借りる。事前にコンパクトカーを,とお願いしていたのに,今用意できる車はシボレーのコンパクトカーかピックアップトラックのいずれかしかないとのこと。トラックなんてとんでもない! もちろんコンパクトカーです。旅行が終わった今になって思えば,トラックは運転席が高いので見晴らしが良いはずで,通行量の少ないアラスカでは運転をおそれるほどではなかったかもしれない。

アンカレジ市内の山具用品店REI等で虫除けスプレーやウォーキングスティックを一本購入し,昨日のアラスカ鉄道の線路と並行して走る唯一の幹線道路を南に向かう。まずはウィッティア近隣のバイロン氷河トレイルへ。ここは往復で3キロほどのトレイル。初挑戦にはちょうど良い距離ではある。距離はね。トレイルヘッドに駐車場があるため,靴をハイキングシューズに履き替え,いざ出発。

しばらくは,普通にトレイルだった。砂利道ではあるが,左右は背丈が私くらいの草本に囲まれているので,きちんと整備されている。が,突然道が終わり,目の前一面が雪で覆われた。ここから先は整備してません,とは事前情報で知っていたが,本当に雪原だった。雪原状に足跡が多く残っていてそれに従って進むが,どこが雪だまりか全く分からない。途中で岩がごろごろしている地帯まで来ると,正面の山々の谷間に氷河が見える。先客の親子連れがランチ中であった。我らも適当な岩に登ろうかと一歩踏み出した瞬間,彼が太ももまで溝にはまった。このとき,せっかく買ったスティックを持ってきていなかったのが痛い。幸いにも,彼は無事に雪から抜け出せたが,私がすっかり及び腰になってしまい,それ以上氷河に近づくのはやめて戻ることにした。

次はポーテージ氷河を見るためのトレイル,ポーテージパスへ。この氷河はポーテージ湖に面した氷河であるが,船に乗るかトレイルを歩くかしなければ見ることができない。ポーテージにはビジターセンターがあったため,何か情報がないか尋ねてみた。が,あまり要領を得ない回答。どうやら,トレイルを頻繁に歩くようなレンジャーは配置されていないらしい。まあ行ってみれば? ということだったので,じゃあ行ってみるかということに。

このポーテージ湖脇からウィッティアに抜けるには,電車・自動車両用の一方通行トンネルを抜ける必要がある。毎時00分はウィッティア行き,30分は逆方向に流れるが,トンネルに入れるのはそれぞれ15分,45分まで。3マイルほどあるのに制限速度が時速25マイルなので,結構時間がかかるのだ。内部の様子は電車ではよく分からなかったが,自動車でだとよく分かる。鉄道の軌道の上を走ると,タイヤが溝にはまっているような,いないような気持ち悪い感じがした。また,トンネルの内部は岩がむき出しになっていて,崩落の危険はないのだろうけど,やや怖い。

トンネルを抜けてすぐ,何も表示がない砂利道に向かって線路を踏み越えてポーテージパスのトレイルヘッドに到着。ここも初めはバイロンと同じく普通のトレイル。しかし急に上り坂が始まり,すぐにとんでもない角度になった。砂利の間をちろちろと流れてくる水も気がかりだ。息が上がりながら歩を進めると,またも道が雪に覆われた。ただ,少し歩けば雪がとぎれ再びトレイルが始まる。バイロンと違って山道であったのだ。今度はスティックを持ってきたので,慎重に雪のあちこちに刺しながら地面を確認して進んだ。ただ,一本しかなかったので私が常用し,彼は怖い思いをしたことだろう。時々,崖側に雪が積もって谷に向かって遮る物が何もない場所もあったから。

なんとか登り切ると,小さな花が咲く小高い丘が広がっていた。ここまでで約2キロもない。歩いた距離はたいしたことないが,一気に登り切った上,雪で足下がおぼつかなく非常に疲れた。ややかすんでいるが,向こうにポーテージ湖と氷河が見える。鳥のさえずりを聞きながら,しばし休憩。相変わらずの晴天で日差しは暑かったが,氷河を吹き降りてくる風のせいか涼しかった。トレイルはポーテージ湖脇まで続くが,ここで我々は引き返すことにした。

ウィッティアを出て,さらに南へ進み本日の宿のあるスワードへ。途中,道の脇にムースが出現した。スワードは小さいものの街であった。さすが不凍港。唯一のスーパーで夕食にサーモンスシを買う。サーモンは悪くないが,いかんせんご飯が大きすぎた。

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